遺言書作成に関する専門用語解説【基礎編】
遺言書を作成する際には、法的な専門用語が数多く登場します。ここでは、初めて遺言を考える方にもわかりやすいように、代表的な用語を10個に絞ってご紹介します。
1. 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)
公証役場の公証人が作成する方式の遺言。証人2人の立ち会いが必要で、内容の真正性・保存性に優れており、もっとも安全性の高い遺言形式です。
2. 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
遺言者が全文・日付・氏名を自筆で書いて押印する遺言方式。近年は財産目録の一部パソコン記載が認められるようになりましたが、不備があると無効になる恐れもあります。
3. 秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)
内容を秘密にしたまま、遺言書の存在のみを公証人に証明してもらう方式。使われる頻度は非常に少なく、実務上はあまり採用されません。
4. 遺留分(いりゅうぶん)
法定相続人に最低限認められている相続分。たとえ遺言書で排除しても、対象となる相続人から遺留分侵害額請求があれば、その一部を返還しなければなりません。
5. 付言事項(ふげんじこう)
法的効力を持たない、遺言者の思いや背景事情を伝える自由記載欄。家族への感謝や配分理由を記載することで、相続人間の感情的トラブルを防ぐ効果があります。
6. 遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)
遺言の内容を実現するために行動する人。相続手続きの窓口や遺産分割の実行者として機能します。行政書士などの専門家が指定されることも多いです。
7. 検認(けんにん)
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、家庭裁判所で形式を確認する手続き。これを経ずに開封・使用すると罰則があります。※公正証書遺言には不要です。
8. 配偶者居住権(はいぐうしゃきょじゅうけん)
配偶者が被相続人の自宅に相続後も住み続けられる法的権利。自宅を分け合うことが難しい場合などに活用されます(2020年施行)。
9. 数次相続(すうじそうぞく)
相続手続きの途中で、さらに別の相続が重なること。連続する相続が発生して登場人物が増えるため、手続きは複雑化します。
10. 遺言の撤回
遺言者の意思でいつでも遺言を取り消すことができる制度。新しい遺言書を作成すれば、以前のものは原則として無効になります。
これらの用語は、遺言書の作成・実行において重要な基礎知識です。
その他の専門用語や具体例については、こちらの投稿ページで順次更新していきます。
