公証人の出張と遺言能力について
~遺言作成時に安心して備えるために~
1. はじめに
高齢や病気で公証役場に行けない場合でも、あきらめる必要はありません。
公正証書遺言を作成する際、公証人が本人のもとへ出張してくれる制度があります。
ただし、その際には「遺言能力」が重要なポイントとなります。
2. 公証人の出張とは?
通常、公正証書遺言は本人が公証役場に出向いて作成しますが、
病気や高齢、身体の障害などにより移動が困難な場合、本人のいる場所(自宅・病院・施設など)に公証人が出張し、遺言作成を行うことができます。
出張にかかる費用
- 通常の手数料に加え、出張費用と日当がかかります。
- 費用は距離や時間によって異なりますが、目安として数万円程度と考えておくとよいでしょう。
3. 遺言能力とは?
遺言をするには、**本人に「遺言を理解して判断できる能力」**が求められます。
これを「遺言能力」といいます。
遺言能力が認められるには、
- 自分が何をしたいのか理解していること
- 財産や家族関係を把握していること
- 誰に何を遺したいのか明確に認識していること
が必要です。
高齢や病気のために判断力が低下している場合、作成時点での能力の有無が後々争点になり、遺言無効の訴訟に発展することもあります。
4. 公証人による確認
公正証書遺言の場合、公証人は遺言者の遺言能力をしっかり確認します。
具体的には、
- 面談による本人確認
- 受け答えの様子、理解力の確認
- 必要に応じて、医師の診断書の提出
などを求められることがあります。
これにより、将来、遺言が無効と争われるリスクを大きく減らすことができます。
5. まとめ ~早めの準備が大切~
公証人の出張制度と、作成時の遺言能力の確認により、体調に不安があっても確実な遺言を作ることが可能です。
ただし、判断力の低下が進む前に準備することが重要です。
当事務所では、
- 出張遺言作成に関する事前相談
- 医師の診断書取得のサポート
- 公証役場との連携支援
などを行っています。
「体調が心配だけど遺言を作りたい」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
