遺言書を作成するために必要な「遺言能力」とは?

遺言書は、自分の財産を誰にどのように渡すかを決める大切な意思表示の手段です。しかし、この遺言が有効と認められるためには、**「遺言能力」**があることが条件です。

◆ 遺言能力とは?

簡単に言えば、自分の意思で遺言内容を理解し、判断して書ける能力があることをいいます。遺言は法律行為ですから、書いた時点での判断能力が問われるのです。


年齢による制限

遺言ができる年齢は法律で決まっており、15歳以上であれば作成可能です(民法961条)。
未成年であってもこの年齢を超えていれば、親の同意なしで遺言ができます。


認知症と遺言能力の関係

遺言能力がよく問題になるのは、高齢や認知症などによって判断力が衰えているケースです。
たとえ認知症と診断されていても、症状が軽く、遺言内容を理解していれば有効とされることもあります。

ただし、症状が進んでいて意思表示が困難な状態で書かれた遺言は、無効とされる可能性が高くなります。


遺言能力が疑われた場合の対処法

遺言能力に関してトラブルを避けるためには、以下のような方法が有効です:

✅ 公正証書遺言を選ぶ

公証人が作成をサポートしてくれるので、判断能力があるかどうかを第三者が確認してくれる安心感があります。

✅ 医師の診断書を取得する

遺言作成時に、医師から「遺言能力があった」とする診断書をもらっておくことで、後日のトラブル予防につながります。

✅ 作成時の状況を記録しておく

作成日時、会話の様子、健康状態などを録音・録画するのも効果的です。


万が一、遺言能力を争われたら…

相続人の間で「本当に判断力があったのか?」と争われると、家庭裁判所で遺言の有効性が争われる事態になります。こうなると相続手続きが遅れ、家族間の関係悪化にもつながりかねません。


まとめ:早めの準備と専門家のサポートを

遺言能力は、「その時にあったかどうか」が重要な判断材料になります。
元気なうちに公正証書遺言など確実な方法で準備しておくことで、トラブルのリスクを減らすことができます。

行政書士は、遺言作成に関するアドバイスや書類作成、公証役場でのサポートなどを行っています。
判断力があるうちに、ぜひ専門家へご相談ください。

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