配偶者居住権の評価と生命保険の併用について

【1】配偶者居住権の評価方法

~相続税や遺産分割に影響する金額の算定~

配偶者居住権は評価の対象になる?

配偶者居住権は「財産的価値」があると見なされるため、相続税の課税対象になります。また、遺産分割協議でも他の相続人との公平性を保つために評価額の算定が必要です。


評価の基本的な考え方

配偶者居住権の評価は、以下の要素から算定されます:

  • 配偶者の平均余命
  • 建物の耐用年数
  • 建物の固定資産評価額
  • 土地の評価額(※建物が土地に付随している場合)

税務上は、**国税庁の「財産評価基本通達」**に基づき計算されます。


具体的な評価方法(例)

  1. 建物の価値を耐用年数に応じて減価
  2. 配偶者の年齢を基に居住期間を想定
  3. 建物および土地使用に関する価値を乗じる

たとえば、80歳の配偶者が30年の耐用年数の家に住み続ける場合、残りの居住期間や減価率に応じて、建物の価値の一部が配偶者居住権として評価されます。


注意点

  • 登記がなければ、配偶者居住権が認められない可能性も
  • 評価が高額になると、配偶者の相続税負担が増えることも
  • 税理士・司法書士などの専門家と連携した対応が必要

【2】配偶者居住権と生命保険の併用

~居住と生活費の両方を確保するために~

なぜ併用が有効?

配偶者居住権だけでは「住まいの確保」はできても、「生活費や医療費」まではまかないきれません。
そこで、生命保険の活用が非常に有効になります。


生命保険のメリット

  • 現金として即時に受け取れる(相続人間で分割不要)
  • 他の相続財産とは別枠の非課税枠(500万円×法定相続人)
  • 配偶者の老後資金や介護費用に充てられる

組み合わせの一例

項目内容
自宅配偶者居住権として配偶者に設定
預貯金子どもが相続
生命保険受取人を配偶者に指定(現金確保)

→ 住む場所と生活費の両方をバランスよく確保できます。


専門家にご相談を

生命保険の受取方法や相続税の節税対策には、民法と税法の両面からの知識が必要です。
当事務所では、ファイナンシャルプランナーや税理士と連携し、ご家庭の事情に合わせたご提案が可能です。

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