宅建士の専任要件をクリアする方法
── 事務所ごとに1名以上、常勤配置を確実に実現するには
宅地建物取引業(宅建業)許可を得るためには、**「事務所ごとに専任の宅地建物取引士(宅建士)を1名以上配置」**することが必須要件です。しかし、実務上は「専任」の定義を満たさずに申請を却下されるケースも少なくありません。本記事では、専任要件の正確な理解とクリアするための具体策を解説します。
1.専任宅建士とは何か?
- 専任=「その事務所に常勤し、他の業務と兼務せず、業務時間の過半を当該事務所業務に従事する」宅建士
- 法人・個人を問わず、事務所ごとに1名以上配置が必要
〈参考条文〉
宅建業法施行規則 第17条の3
「宅建士は…当該事務所において…常勤の者でなければならない」
2.「常勤」の具体的基準
要件 | 内容 |
---|---|
勤務時間 | 週40時間のうち32時間以上を当該事務所で勤務 |
他業務兼務 | 他の事業所や業務と兼務しない(非常勤を含まない) |
勤務実態 | タイムカード・就業規則・出勤簿などで証明可能 |
- テレワーク・在宅兼用の場合も「事務所での実績出勤32時間以上」が必要
- 兼務や非常勤契約は専任要件を満たさないため注意
3.クリア方法①:雇用契約の整備
- 就業規則・雇用契約書に「勤務地:本店○○事務所」「常勤」「週40時間勤務」などを明記
- 出勤簿・タイムカードで実労働時間の管理を徹底
- 給与計算や社会保険加入も「当該事務所勤務」を前提に行う
→ 書面で「常勤」を裏付ける証拠を揃えることで、申請時の審査クリア率が上昇します。
4.クリア方法②:組織体制の見直し
- 複数店舗展開の場合
- 各店舗に必ず専任宅建士を1名ずつ配置
- 本店と支店で宅建士を兼務させない
- 個人事務所の場合
- 事務所拡大で宅建士が複数必要になったら、パート契約ではなく正社員/契約社員で「常勤」雇用
→ 兼務トラブルを避けるため、宅建士の配置計画を事前に策定。
5.クリア方法③:委任状・届出書の整備
- 宅建士の登録証の写し、専任証明書を必ず添付
- 宅建士が変更になる場合は変更届を30日以内に提出
- 事務所移転や増設時も、専任配置を含む変更届出を忘れずに
→ 変更手続き漏れが「専任不備」の原因となるため、常に最新状態を保つ。
6.チェックリストで申請前最終確認
チェック項目 | 確認方法 |
---|---|
宅建士の雇用契約書に「常勤」と明記 | 契約書を閲覧 |
出勤簿で週32時間以上の実績あり | 過去3ヶ月分を確認 |
他事務所との兼務がない | 就業規則・本人ヒアリング |
専任証明書を最新で添付 | 申請用書類一式を点検 |
変更届が未了でないか確認 | 直近の変更履歴チェック |
→ これらすべてをOKにしてから申請すれば、専任要件での不許可リスクをほぼゼロにできます。
まとめ
- 宅建士の「専任要件」は雇用形態・実労働時間・兼務禁止の3要素を満たすこと
- 契約書・出勤簿・専任証明書で書面裏付けを必ず用意
- 事務所増設や人事異動時は速やかに変更届出を行う
専任要件をクリアすることで、宅建業許可申請は大きく前進します。不安な場合は、行政書士による事前チェックサービスをご活用ください。
