許可取得後の義務と罰則規定

── 宅建業者が守るべき法令義務と違反時のペナルティ

宅地建物取引業(宅建業)許可を取得した後も、事業者にはさまざまな法定義務が課されています。これらを怠ると、業務停止や許可取消など厳しい罰則が科される可能性があります。本記事では、許可取得後に宅建業者が果たすべき主な義務と、違反時のペナルティをまとめて解説します。


1. 事務所標識の掲示義務

  • 義務内容
    事務所の見やすい場所に「宅地建物取引業者許可票」を掲示。許可番号・事業者名を明示。
  • 根拠:宅建業法 第34条
  • 違反時の罰則:10万円以下の過料

2. 帳簿・書類の備置き義務

  • 義務内容
    取引ごとに「重要事項説明書」「契約書」の写しや、業務に関する帳簿を5年間保存。
  • 根拠:宅建業法 第35条、第37条
  • 違反時の罰則:50万円以下の罰金

3. 宅建士の広告・説明義務

  • 義務内容
    広告や契約時に、専任宅建士が説明を行った旨と氏名を記載。重要事項説明は宅建士が対面で実施。
  • 根拠:宅建業法 第35条の2、第36条
  • 違反時の罰則:業務停止(最長6ヶ月)または30万円以下の罰金

4. 変更届出義務

  • 義務内容
    事務所移転、役員変更、専任宅建士変更など、許可内容に変更があった場合30日以内に届出。
  • 根拠:宅建業法 第52条
  • 違反時の罰則:10万円以下の過料/場合により許可取消

5. 営業保証金・保証協会継続義務

  • 義務内容
    保証金納付者は廃業まで保証金を維持。保証協会加入者は会費・保証料を継続支払い。
  • 根拠:宅建業法 第44条
  • 違反時の罰則:許可取消/業務停止

6. 定期報告義務(都道府県への業務実績報告)

  • 義務内容
    毎年、取引件数や苦情件数などの業務状況を都道府県知事に報告。
  • 根拠:宅建業法施行規則 第24条の2
  • 違反時の罰則:10万円以下の過料

違反発覚後の行政処分フロー

  1. 是正指導・勧告
    軽微な違反はまず指導・勧告で是正を促す。
  2. 業務停止命令
    重大・再発の場合、最長6ヶ月の業務停止。
  3. 許可取消し
    悪質または再三の違反では許可取消。
  4. 罰金・過料
    刑事罰として罰金や過料が科される。

まとめ

  • 許可後も「掲示」「帳簿保存」「変更届」「宅建士説明」「報告」など多くの義務あり
  • 違反すると過料・罰金・業務停止・許可取消とリスク大
  • 定期的な社内チェック体制を構築し、法令遵守を徹底することが事業継続の鍵

許可取得はスタート地点にすぎません。継続的に法令義務を守ることで、信頼ある宅建業者として安定経営を目指しましょう。行政書士によるコンプライアンス点検サービスもご活用ください。

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