古物商許可とその他許認可の違い|質屋・リサイクル業・輸出入業との兼業ポイント

中古品を扱う事業には「古物商許可」のほか、質屋業やリサイクル業、輸出入業など、複数の許認可制度が関わる場合があります。これらを同時に行う際は、それぞれの許可要件や届出義務を正しく理解し、重複や抜け漏れのないよう手続きを行うことが重要です。本記事では、代表的な関連業種との違いと兼業時のポイントを解説します。


1. 古物商許可と質屋営業許可の違い

項目古物商許可質屋営業許可
法令古物営業法質屋営業法
取扱品中古品(動産全般)動産(主に高額品・貴金属・美術品など)
主な業務内容売買・交換・貸渡質入れ(担保融資)
許可要件営業所要件・管理者要件・欠格事由など古物商要件+質札交付義務・利息制限など
帳簿義務古物帳簿保存質札帳簿保存・利息計算記録

兼業ポイント

  • 質屋業を行う場合、古物商許可だけでなく質屋営業許可も別途取得が必要。
  • 質屋は貸金業登録(利息制限法)も関係するため、利率設定に注意。
  • 古物帳簿と質札帳簿はフォーマットが異なるため二重管理が必要。

2. 古物商許可とリサイクル業登録の違い

項目古物商許可廃棄物再生事業者(リサイクル業)登録
法令古物営業法廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)
取扱品中古動産産業廃棄物・一般廃棄物
主な業務内容売買・交換・貸渡廃棄物の収集・運搬・再生利用
許可要件営業所・管理者・欠格事由など設備基準・技術基準・財務基盤
環境規制なし排出抑制・マニフェスト制度

兼業ポイント

  • 中古家電リサイクルなど一部重なるが、リサイクル業は別途「産業廃棄物収集運搬業許可」等が必要。
  • 古物商として仕入れた品を解体・素材再生する場合、廃掃法の許可要件を満たす施設・設備が必要。
  • 帳簿も別管理、廃棄物マニフェストの電子記録義務に留意。

3. 古物商許可と輸出入業許可(通関業・貿易業)の違い

項目古物商許可通関業許可/輸出入業登録
法令古物営業法通関業法/関税法
取扱品国内中古品海外からの輸出入品
主な業務内容国内売買・交換・貸渡輸出入手続き代行・通関手続き
許可要件営業所・管理者・欠格事由など通関士配置・保証金・専用事務所要件
関税・法規制なし関税納付・輸出規制・原産地規制

兼業ポイント

  • 輸出向けに古物(中古品)を海外販売する場合、古物商許可+通関業許可または自社輸出登録が必要。
  • 古物商帳簿とは別に、輸出入のインボイス・通関帳簿を整備。関税・輸出管理規制遵守が必須。
  • 通関士資格保有者を専任配置し、保証金納付など通関業要件を満たす。

4. まとめ:兼業時の手続きフロー

  1. 業務内容を明確化
    兼業する業務範囲を洗い出し、必要な許認可をリスト化。
  2. 許認可要件の並行準備
    古物商許可書類と、質屋・リサイクル・通関の各許可書類を同時に準備。
  3. 届出・申請のタイミング管理
    変更届出も含め、各許可の提出期限をカレンダー管理。
  4. 帳簿・帳票の二重管理体制構築
    古物帳簿、質札帳簿、マニフェスト、通関帳簿などを適切に分けて保存。
  5. 専門家活用
    許認可ごとに異なる法令を行政書士・税理士・通関士など専門家に依頼すると効率的。

兼業するほど事業機会は広がりますが、許認可漏れや法令違反リスクも増えます。事前にしっかり要件を確認し、必要な手続きを確実に行いましょう。行政書士による包括的サポートもご活用ください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です