【医療と法務|第1回】

がんの告知と意思決定支援 ~本人の意志を尊重するために~

がんという診断を受けたとき、多くの方は「これからどう治療するのか」「どのような生活になるのか」といった不安に直面します。その過程で重要なのは、「本人の意思に基づいた選択」ができるよう、支える仕組みを整えておくことです。

意思決定の機会は限られている

がんと診断された方の中には、告知後のショックや体調変化により、短期間で意思表示が難しくなることがあります。特に高齢の方や、すでに別の疾患を抱えている場合は、認知機能の低下などにより、「自分の希望を伝えにくい」状況に置かれやすいのです。

治療法の選択、終末期医療の方針、財産の管理や分配など、人生の大事な選択をするためには、元気なうちに準備することが不可欠です。

法的支援の手段とは?

行政書士などの法務専門職は、以下のような支援を通じて、がん患者ご本人の意思決定をサポートすることができます:

  • 公正証書遺言:自分の財産の分け方を明確に残す法的手段。作成時に意思能力が必要なため、早めの準備が重要です。
  • 事前指示書・延命治療の意思表示書:治療に関する希望を明記した文書。
  • 任意後見契約:将来、判断能力が低下したときに備え、あらかじめ信頼できる人を決めておく制度。

これらの制度は、本人が「まだ元気なうち」にしか利用できません。「もしもの時に備えておく」ことが、ご本人の尊厳を守り、家族の不安や争いを減らすことにつながります。

医療と法務の連携が支える「その人らしさ」

医療と法務は、どちらも「その人が望む人生を選び取る」ためのサポート役です。がんという重大な局面において、本人の意志が正しく反映されるよう、制度と対話の両輪で支援を進めることが大切です。


次回の投稿では、「肺がんステージⅣと診断された母の決断」をテーマに、公正証書遺言によって安心を得た家族の実例(※想定事例)をご紹介します。

[第2回|遺言専門サイトの事例記事]


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