【医療と法務|脳卒中 第4回】
任意後見契約の手続きとは?
~信頼できる人に「将来の自分」を託す方法~
前回の想定事例では、脳梗塞で意思能力を喪失したSさんが、
あらかじめ結んでいた任意後見契約のおかげで、混乱なく療養を続けられた様子を紹介しました。
今回はその「任意後見契約」について、
契約から発効までの具体的な流れと注意点を解説します。
❖ 任意後見契約とは?
元気なうちに、将来の判断能力低下に備えて、
**「この人に自分の生活や財産を支援してもらう」**という内容を公正証書で取り決めておく制度です。
➡ 本人の意思で「支援者(任意後見受任者)」を選べる点が大きな特徴です。
❖ 手続きの流れ
① 相手を決める(任意後見受任者)
- 家族・知人・専門職(行政書士・弁護士など)から選定
- 信頼関係があることが前提
- ※複数人で分担する形(例:家族+専門職)も可能
② 内容を決める(契約事項)
- 財産管理(預金、年金、税金、契約など)
- 医療・福祉手続きの代理
- 見守り契約や財産管理契約と併用するかも検討
③ 公正証書で契約を作成
- 本人と受任者が公証役場へ同行(本人の意思能力が必要)
- 公証人が本人の理解力を確認し、作成・署名・押印
- 契約書は登記され、公的効力が認められます
❖ 任意後見契約の「発効」はどうする?
契約を交わしただけでは「まだ効力はありません」。
以下の手続きを経て、初めて発効します。
➤ 発効手続きの流れ
- 本人の判断能力が低下した時点で、家庭裁判所に「監督人選任の申立て」
- 審査後、任意後見監督人が選ばれる
- 監督人のもとで、任意後見契約が正式に発効
- 以後、任意後見人が本人の生活・財産管理を支援
❖ 注意点・誤解の多いポイント
- 任意後見は**“発効するまで”使えない** → 緊急時対応には「財産管理契約」を併用すべき
- 一度発効すると、家庭裁判所の監督が継続 → 毎年の報告義務あり
- 本人の判断能力があるうちしか契約できない → 「まだ大丈夫」が一番危ない
❖ 公正証書作成は行政書士にご相談ください
- 契約内容の設計
- 公証役場との調整
- 家庭裁判所への申立て準備支援 など、
当事務所では、契約から発効後のフォローまで一貫してサポートしています。
❖ まとめ
任意後見契約は、
「人生の舵を、自分が信じる人に任せる」という強い自己決定の表現です。
安心の老後、そして“もしものとき”の混乱を防ぐために、
早めにご検討いただくことをおすすめします。
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