【医療と法務|脳卒中 第5回】
見守り契約と財産管理委任契約
~任意後見契約とあわせて備える“安心の土台”~
前回は、任意後見契約を公正証書で作成し、
将来の判断力低下に備える方法を解説しました。
しかし、任意後見契約には「すぐには使えない」という特徴があります。
そのため、発効までの空白期間を支える制度として、
「見守り契約」と「財産管理委任契約」が重要な役割を果たします。
❖ 任意後見契約の“盲点”とは?
- 契約はしても、判断力がしっかりしているうちは発効できない
- 軽度の認知症・脳梗塞後の回復期など、グレーゾーンの支援が難しい
- 家族が代理で手続きできず、必要な支援が届かない恐れ
❖ 見守り契約とは?
信頼できる相手に、定期的な連絡・訪問・状況確認を依頼する契約です。
- 電話や訪問での安否確認
- 生活の変化を把握して、必要な支援につなぐ
- 任意後見の発効タイミングを見極める役割にも
✅ 契約だけでなく、**「日常的なつながり」**を築くことが目的です。
❖ 財産管理委任契約とは?
任意後見発効前でも、受任者に一部の代理権を与え、
財産・日常生活の支援を委任できる制度です。
- 銀行手続き、支払い代行、行政書類の提出など
- 本人の意思があれば、契約後すぐに利用可能
- 高齢による体力低下や通院困難な方の支援に有効
❖ 3つの契約を組み合わせることで…
| 契約の種類 | 利用タイミング | 主な役割 |
|---|---|---|
| 見守り契約 | 健常時から | 安否確認・体調変化の察知 |
| 財産管理委任契約 | 判断能力があるうち | 金融・行政手続きの支援 |
| 任意後見契約 | 判断力が低下したら発効 | 法的代理・包括的支援 |
➡ この3本柱で、元気なうちから人生の最期までをカバーできます。
❖ 実際にはどう使われているのか?
- 子どもが遠方に住んでいる親御さんの生活支援
- 配偶者を亡くした高齢者が、信頼できる第三者に備えを託すケース
- 「おひとりさま」高齢者が自立を維持するための支援設計 など
公正証書遺言・死後事務委任契約ともあわせて、
生活全体を「契約と信頼」で支える仕組みとして活用されています。
❖ まとめ|「もしも」に備えるなら、「今」から備える
- 判断力がある今しかできない契約です
- 後見発効までの空白期間にも支援が届くよう、併用を前提に設計しましょう
当事務所では、3契約の設計から公証役場手配、発効後の支援まで一貫して対応しています。
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