【医療と法務|脳卒中 第9回】

遺言と死後事務委任契約の違いと補完関係

~「お金」と「生活」を分けて備える考え方~


遺言や死後事務委任契約についての事例を通して、
それぞれの制度がどのように使われるかをご紹介してきました。

今回は、それら2つの制度の役割の違いと、
どう組み合わせれば最期まで自分の意思を実現できるのかを整理します。


❖ そもそも「遺言」と「死後事務委任契約」は何が違う?

比較項目遺言死後事務委任契約
法的根拠民法民法・委任契約
主な目的財産の分配死後の生活手続き全般
主体相続人・受遺者・遺言執行者委任者・受任者
内容相続分配、遺贈、遺言執行者指定など死亡届、火葬・納骨、支払い・契約解約など
発効時期死亡時死亡後に受任者が対応
制限相続・財産の範囲に限定契約で自由に定められる

遺言は「財産の行き先」を決める文書、死後事務委任契約は「死後の生活の後片付け」を任せる契約です。


❖ どちらかだけでは足りない理由

【遺言だけの場合】

  • 火葬や納骨、公共料金の精算、遺品整理などが行えない
  • 相続人が遠方・高齢・不在のケースで現場対応が困難に
  • 「誰が手続きするか」が不明で混乱することも

【死後事務委任契約だけの場合】

  • 財産の分配はできないため、相続に関するトラブルを防げない
  • 財産の引き渡し・不動産処分には、遺言が必要

両方を整えておくことで、死後の“現実的な手続き”と“法的な財産処理”をカバーできます。


❖ 実際の事例での併用パターン

  • ①「遺言」で…
     ▶ 預金の相続、相続人の指定、遺言執行者の選定
  • ②「死後事務委任契約」で…
     ▶ 死亡届・火葬・納骨の手配、賃貸解約、公共料金の精算、医療費の支払い

→ 両制度を併用したことで、親族に過大な負担をかけることなく、希望どおりの手続きがスムーズに進行


❖ 補完的に機能させるコツ

  • 契約書・遺言書ともに公正証書で作成
  • 信頼できる支援者に受任してもらい、一貫して任せられる体制を整える
  • 死後の手続きに必要な費用は、預託金や信託などで確保しておくと安心

❖ まとめ|「お金」と「生活」の両方に備える

  • 遺言だけでは“暮らしの整理”ができません
  • 死後事務契約だけでは“財産の処理”ができません
  • だからこそ、2つを組み合わせることが、
     “自分らしい最期”を叶えるための大きな一歩となります。

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