📝遺言作成にあたり|第2回
遺言作成に必要な情報整理
💡想定事例
長野県中野市にお住まいのBさん(75歳・男性)。
定年後は自宅で家庭菜園を楽しみながら穏やかに暮らしています。
子どもは2人。長男は県外で勤務、長女は近くに住んでいます。
最近、友人の相続トラブルを耳にし、「自分も遺言を考えた方がいいのでは」と思い立ちました。
ところが、いざノートを開いてみると、
「どんな財産がどこにどれだけあるのか、整理できていない」ことに気づきました。
🧾解説:まずは“見える化”から始める
遺言書を作る際は、**「何を」「誰に」「どのように」**残すかを決めるために、
財産と人間関係の整理が不可欠です。
1️⃣ 財産の把握
- 不動産(自宅・土地・賃貸物件など)の名義・所在地・登記内容を確認
- 預貯金、株式、投資信託、保険などの金融資産を一覧化
- 借入金・保証債務・クレジット残高など負債も記録
👉 特に不動産の名義が本人以外になっているケースや、
共有名義のまま放置されている土地には注意が必要です。
2️⃣ 家族・相続関係の整理
- 法定相続人の確認(戸籍をたどって把握するのが確実)
- 離婚・再婚・養子縁組などの経歴がある場合は、
誰が相続人となるかを早めに確認しておく - 相続人以外に財産を残す場合(孫・甥姪・知人など)は、
遺言書でしか実現できません
3️⃣ 財産の評価とバランス
「平等に分ける」=「公平に感じる」とは限りません。
- 不動産は価値が偏りやすく、分け方で不満が出やすい
- 預貯金・生命保険など流動資産とのバランス調整を考慮
💬 実務のポイント
- 財産一覧を「エンディングノート」や「財産目録」として残すと、
遺言作成後の見直しも容易になります。 - 財産目録はワープロでも作成可。
公正証書遺言では添付しても問題ありません。
🧭 行政書士からのひとこと
遺言作成をスムーズに進める方の多くは、
「財産と家族関係を正確に整理できている」方です。
これは、専門家との相談の質を高めるうえでも重要です。
何をどう分けたいかを考える前に、
まずは“現状を見える化”することから始めてみましょう。
📚次回予告
第3回|相続人・受遺者を整理する
――誰に何を託すのか、法定相続のルールから考える――



