デジタル公正証書遺言制度がスタート
~法改正で広がる「遺言の新しい選択肢」~
■ 制度の概要
2025年10月1日から、法務省により「デジタル公正証書遺言制度」が施行されました。
これは、公正証書遺言の作成手続きを オンライン上で完結できる ようにする新しい仕組みです。
公証人による本人確認・意思確認をビデオ通話等で行い、
マイナンバーカードによる電子署名を用いて作成することで、
従来の公正証書遺言と同一の法的効力を持つ遺言が作成可能となりました。
■ デジタル化の目的と背景
近年、社会全体でデジタル行政の推進が進む中、
公証制度でも「アクセスしやすい法制度」の実現が求められてきました。
特に、
- 高齢化の進行
- 公証役場への移動負担
- 遠方の家族との調整
といった課題を踏まえ、非対面で安全に遺言を作成できる環境整備が進められています。
■ 手続きの流れ(概要)
- 公証人との事前打ち合わせ(オンライン可)
- 本人確認・意思確認(ビデオ通話で実施)
- 電子署名(マイナンバーカードを使用)
- 公証人が電子署名を付与し、電子的に保管
従来の公正証書遺言と同様、公証人が関与するため、
内容の不備や形式的な無効のリスクが極めて低い点が特徴です。
■ 長野県内の対応状況について
制度は全国で施行されていますが、
開始直後はすべての公証役場が一斉対応しているわけではありません。
長野県でも、主要都市から順次、対応体制が整備される見込みです。
運用方法や予約対応の可否は各公証役場により異なるため、
事前確認が推奨されます。
■ 制度利用に必要な準備
- マイナンバーカードと暗証番号(電子署名用)
- 安定した通信環境(カメラ付きPC・タブレット等)
- 証人のオンライン参加環境
行政書士が作成支援を行う場合、
遺言内容の整理や必要資料の確認段階から関与することで、
円滑なオンライン手続きが可能になります。
■ デジタル公正証書遺言の意義
制度の導入により、
「遺言作成=公証役場での対面」という従来の固定概念から脱し、
本人の生活環境に合わせた柔軟な選択ができるようになりました。
特に医療や介護の現場で外出が難しい方にとって、
自宅から意思を示せることは大きな意義があります。
■ 当事務所のサポート
行政書士として、
- 公正証書遺言作成の事前準備
- 遺言内容の整理
- 公証役場との調整
- デジタル方式の利用可否の確認
などをサポートいたします。
法改正に対応した新しい遺言のかたちを、安心してご利用いただけるよう支援します。

