✍ ご自身で自筆証書遺言を作成する際の基本的な流れと注意点
― 行政書士が見る「自分で書く遺言書」失敗を防ぐポイント ―
「自筆証書遺言」は、すべての遺言方式の中で最も手軽に作成できる方法です。
自宅で手書きでき、費用もかからないため、「まずは自分で書いてみたい」という方が増えています。
しかし、形式の不備や書き方の誤りで無効となるケースが多い のもこの方式の特徴です。
この記事では、行政書士の視点から、自筆証書遺言を自分で作成する際の基本的な流れと注意点を解説します。
1.自筆証書遺言とは?
自筆証書遺言は、遺言者本人が 全文・日付・署名 を自書し、押印することで成立します(民法968条)。
他人の代筆やパソコンでの作成は原則として無効になります。
ただし、令和2年の法改正により、財産目録のみパソコン作成やコピー添付が可能 になりました。
この点を理解しておくと、作成時のトラブルを防ぎやすくなります。
2.自筆証書遺言の作成手順
自分で遺言書を作成する場合、おおまかに次の流れで進めます。
1️⃣ 内容を整理する
・誰に何を相続(遺贈)するか
・遺留分(相続人の最低限の取り分)を考慮する
・相続人以外への遺贈や寄付を含める場合は明確に
2️⃣ 全文・日付・署名を自書する
・黒インクのボールペンが一般的
・修正テープは使用不可
・日付は「令和○年○月○日」と明確に
3️⃣ 押印する
・認印でも可だが、実印が望ましい
・印鑑の登録がないと、本人確認が難しくなる場合がある
4️⃣ 財産目録を添付する(任意)
・パソコン作成可
・各ページに署名押印を忘れずに
5️⃣ 保管方法を決める
・自宅保管か、法務局での「自筆証書遺言保管制度」を利用
3.よくあるトラブル①:日付・署名・押印の欠落
遺言書に 日付がなかったり、署名や押印がない 場合、無効になります。
📌 ポイント
- 「令和七年十一月吉日」などの記載は避ける(「吉日」は無効になることも)
- フルネームで署名
- 押印はページごとにするのが確実
4.よくあるトラブル②:財産や相続人の記載があいまい
「長男に家を相続させる」と書いたつもりでも、どの不動産を指すのか不明確な場合、争いになります。
📌 ポイント
- 不動産は「所在・地番・地目・地積」まで登記事項証明書に基づいて記載
- 預貯金は「銀行名・支店名・口座番号」まで記載
- 相続人・受遺者は「氏名・生年月日・続柄」を明記
5.よくあるトラブル③:保管方法が不適切
自筆証書遺言は本人が自由に保管できる反面、発見されない・破棄される・改ざんされる などのリスクがあります。
📌 ポイント
- 封筒に入れて封印し、信頼できる人に所在を伝える
- より確実なのは「法務局の保管制度」を利用すること
→ 本人が申請し、法務局が原本を保管してくれる制度
→ 申請時に本人確認が行われ、内容を公的に記録可能
6.行政書士が確認しているチェックポイント
行政書士が遺言作成サポートを行う場合、次の点を事前に確認します。
- 相続関係図の作成(法定相続人の確認)
- 財産目録の正確性(不動産・預金など)
- 文言の法的有効性(「遺贈」「相続させる」の使い分けなど)
- 保管方法・証人の要否・開封手続きの説明
これらを整理しておくことで、将来のトラブルを防ぎ、遺言の効力を確実にします。
7.行政書士に相談すべきタイミング
次のようなケースでは、専門家の確認を受けることをおすすめします。
- 相続人が複数いて、財産の分け方に悩む
- 先妻・後妻、養子など家族構成が複雑
- 相続財産に不動産や事業資産がある
- 将来的に公正証書遺言へ移行を検討している
行政書士は、遺言内容の整理や文案作成、法務局保管制度の手続きサポートなど、
「自分で作る遺言」を安全に仕上げるための伴走役となります。
8.まとめ|手軽に書けるが、法的な裏付けを忘れずに
自筆証書遺言は、思い立ったときにすぐ書ける大きなメリットがあります。
ただし、形式や文言を誤ると「せっかく書いたのに無効」になるリスクも。
- ✅ 日付・署名・押印を正確に
- ✅ 財産・相続人を具体的に
- ✅ 保管方法まで考えて作成
この3つを守ることで、ご自身でも十分に有効な遺言を作ることができます。
【ご相談ください】
行政書士事務所FLWでは、
自筆証書遺言・公正証書遺言の作成サポートをはじめ、
相続関係図・財産目録の作成、法務局保管制度の申請支援を行っています。
「自分で遺言を書いてみたけれど、不安がある」
「内容をチェックしてほしい」
そんな場合でも、部分的なご相談に対応可能です。


