遺言書における「付言事項(ふげんじこう)」とは
~想いを伝える、もうひとつの遺言~
1. 付言事項とは?
付言(ふげん)事項とは、遺言書において法的な効力は持たないが、本人の想いや背景、希望などを自由に書き添えることができる部分です。
たとえば、
- 「○○には迷惑をかけたが、感謝している」
- 「□□に相続させるのは、介護してくれたお礼の気持ちです」
- 「兄弟で争わないで仲良くしてほしい」
といった、気持ちやメッセージを伝える内容が中心です。
2. 付言事項のメリット
● 相続人の理解を得やすくなる
遺産の分け方に対して「なぜこうしたのか?」という理由が明示されていれば、相続人の納得を得やすく、トラブルの防止につながります。
● 感謝や謝罪など、法的に書けない気持ちを伝えられる
遺言では伝えきれない感情的な部分を表すことができ、遺されたご家族にとって心の支えとなることもあります。
● 円満な相続を後押しする
遺言者の人格や想いが伝わることで、相続人同士の争いや不信感を減らし、円満な遺産分割が実現しやすくなります。
3. 書き方のポイント
- 法的内容(相続分の指定や遺贈など)とは区別して記載しましょう
- 手書きの自筆証書遺言では、付言も含めすべて自筆で記す必要があります
- 誰に向けて書くかを意識して書くと伝わりやすくなります(例:「長男へ」「家族へ」)
4. 付言の例文
長男○○へ。これまで家業を支えてくれてありがとう。
今回、土地はあなたに相続させますが、これは感謝の気持ちの表れです。
他の兄弟姉妹はこれを理解し、皆で助け合っていってほしいと願います。
私の財産は多くありませんが、皆が健康で仲良く暮らしていってくれることが一番の願いです。
5. 注意点
- 法的拘束力はないため、相続人に義務を強制することはできません(ただし、感情面への影響は大きい)
- 相続人の感情を刺激する内容(恨み・非難など)はトラブルの火種になる可能性があります
- 書き方や表現に不安がある場合は、専門家に相談するのが安心です
当事務所では、付言の文案作成もサポートしています
遺言は「財産の分け方」だけではなく、「人生のメッセージ」でもあります。
心のこもった付言が、残された家族にとってのかけがえのない贈り物になることも少なくありません。
行政書士が、あなたの想いが正しく伝わるよう丁寧にアドバイスいたします。お気軽にご相談ください。
