特別寄与者とは
~介護や看護に尽力した家族が報われる制度~
1. 特別寄与者制度の背景
かつては、被相続人(亡くなった人)に対して多大な貢献をした親族でも、法定相続人でなければ財産を受け取れないのが一般的でした。
これにより、長年の介護や看病などを行った**息子の配偶者(嫁)**などが何の報酬も受けられないことが社会問題に。
そのため、2019年の民法改正により、「特別寄与料」という新しい制度が創設されました。
2. 特別寄与者とは?
法定相続人ではない親族で、被相続人に対して特別の寄与をした人を指します。
対象者の例
- 長男の妻(被相続人の嫁)
- 孫や甥、姪などの親族
※子や配偶者など、法定相続人は対象外(寄与分の制度が別にあります)
3. 寄与の具体例
- 長年にわたる無償の介護や看病
- 高齢者の生活支援(買い物・送迎・家事)
- 医療費・生活費などの経済的援助
- 家業の手伝いによる経営的支援
4. 特別寄与料を請求するには?
【請求の条件】
- 法定相続人ではないこと
- 無償で療養看護や家事等の支援を行ったこと
- 被相続人の財産の維持や増加に寄与したこと
【請求先】
- 被相続人の相続人(通常は遺産分割協議の場で話し合う)
【請求期限】
- 相続開始(死亡)を知った日から6か月以内
- または、相続開始から1年以内
5. 特別寄与料の金額は?
金額の目安は法的に明確には定められていませんが、以下のような要素で判断されます:
- 寄与の内容・期間・程度
- 被相続人の財産状況
- 他の相続人とのバランス
遺産分割協議で合意できない場合は、家庭裁判所に調停・審判を申立てることも可能です。
6. 特別寄与制度の注意点
- 請求しないと何ももらえない制度です(自動的に認められない)
- 相続人との関係悪化やトラブルのリスクもある
- 遺言であらかじめ金銭を渡す形にしておくと、争いを防ぎやすい
7. よくあるご質問
Q. 特別寄与者は相続人になれるの?
→ なれません。あくまで「寄与料」の請求ができるだけです。
Q. 被相続人の世話をしていた嫁ですが、相続人とトラブルになっています…
→ 特別寄与料の請求を検討できます。交渉が難しい場合は、弁護士や行政書士に相談を。
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