動物取扱業の根拠法となる「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」は、
単に「登録やルールを定めた法律」ではありません。
その根底には、「動物の命を尊重し、人と動物が共生できる社会を築く」という理念があります。
本記事では、動物愛護管理法の目的と理念、そして事業者として意識すべき基本姿勢について整理します。
🐕 1.動物愛護管理法の基本理念
法律の第1条には、次のように記されています。
「動物が命あるものであることにかんがみ、
人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。」
つまり、
「動物は人の所有物ではなく、生命を持つ存在」
であるという考え方が、法の根本にあります。
動物取扱業者はこの理念を理解し、
「適正な取扱い」「健康と安全の確保」「周辺環境への配慮」
を徹底することが求められます。
📜 2.法の目的と基本原則
動物愛護管理法は、大きく分けて3つの目的を掲げています。
- 動物の愛護と適正な管理
虐待や遺棄を防ぎ、健全な飼育環境を確保する。 - 人と動物の共生社会の形成
ペットだけでなく、産業動物・実験動物を含めた調和を目指す。 - 動物取扱業者の適正化
営利目的で動物を扱う者に対して、責任ある取扱いを義務付ける。
このうち、3番目は登録制度と密接に関係します。
行政は、登録時だけでなく、継続的に「飼養管理の適正化」を監視する立場にあります。
🧭 3.「動物福祉(アニマル・ウェルフェア)」の視点
近年、行政も「動物福祉」という概念を重視しています。
これは、単に動物を「生かす」だけでなく、苦痛や恐怖を与えない環境で生きられることを意味します。
代表的な考え方として、英国で提唱された「5つの自由(Five Freedoms)」があります。
| 自由の内容 | 具体例 |
|---|---|
| 1. 飢え・渇きからの自由 | 十分な餌・水を与える |
| 2. 不快からの自由 | 清潔な環境・適切な温度管理 |
| 3. 苦痛・傷害・疾病からの自由 | 予防接種や医療ケアの実施 |
| 4. 恐怖・不安からの自由 | 過度な拘束や騒音を避ける |
| 5. 自然な行動をとる自由 | 十分な運動・遊びの機会を確保する |
➡ 行政の立場でも、この5原則を基準に施設環境を確認します。
申請段階だけでなく、登録後の実地調査でも「動物福祉への配慮」が重視されます。
🐾 4.事業者としての倫理と責任
動物取扱業者は、**「動物を扱うプロフェッショナル」**として社会から信頼される立場にあります。
動物愛護管理法の理念を理解し、日常業務の中で次のような姿勢を持つことが大切です。
- 動物の体調や行動変化を常に観察し、適切に対応する
- 利益よりも命の安全を優先する判断を行う
- 苦情やトラブルには誠実に向き合い、改善を図る
📌 まとめ
- 動物愛護管理法は「命を尊重する」ことを基本理念とする
- 動物福祉の考え方(5つの自由)を実務に反映する
- 事業者は「命を預かる責任者」として、誠実な運営を心がける


