第5弾:もしも「疎遠な家族」がいたらどう書く?
人生の中で、さまざまな事情により疎遠になった家族がいる方も少なくありません。そんな相手に対して、遺言書でどう向き合うか――それは、心情と法律のバランスを取る繊細な作業です。
■ 疎遠でも「相続人」であることを忘れずに
たとえ何年も会っていない相手でも、配偶者や子どもであれば、法律上の「相続人」となります。遺言書を作成せずに亡くなった場合、法律通りに相続が行われるため、意図しない分配になる可能性も。
「もう連絡も取っていないから、何も渡さなくていい」と思っていても、法定相続ではその意向は反映されません。
■ 財産を「渡したくない」場合の注意点
「相続させたくない」と考える場合、単に名前を書かないだけでは不十分です。その代わりに、他の人にすべての財産を相続させる旨を明記することで、間接的に排除する形を取る必要があります。
また、相続人を排除するには「推定相続人の廃除」という法的手続きをとる必要がありますが、これは家庭裁判所での判断が必要なため、専門家の関与が不可欠です。
■ 財産を「渡したい」場合の思いの伝え方
一方、疎遠だった家族にあえて財産を遺したい場合、その想いを丁寧に記すことで、受け取る側にとって意味のあるメッセージになります。
「長年会えなかったけれど、ずっとあなたの幸せを願っていました。少しばかりの財産を、今の生活に役立ててください。」
付言事項として添えることで、誤解や遺恨の芽を減らすことができる場合もあります。
■ 疎遠な家族への対応は「心」と「法」のバランスが重要
関係が複雑な家族ほど、想いを文章にするのは難しいものです。だからこそ、遺言という形で一歩を踏み出すことが、遺された人々の心に大きな影響を与えることもあります。
次回(第6弾)のテーマは
「『認知症になったら』遺言はどうなる?」
です。判断力が問われる遺言の効力とタイミングについて解説します。

