第9弾:公正証書遺言の保管と家族への伝え方
せっかく手間と費用をかけて作成した公正証書遺言。
しかし、それが見つからない・伝わっていない・誰にも知られていないとなれば、
ご自身の想いが実現されない可能性もあります。
今回は、公正証書遺言の適切な保管と、家族への上手な伝え方についてご紹介します。
■ 公正証書遺言の保管はどうなっている?
公正証書遺言は、公証人が作成し、原本は公証役場に保管されます。
そのため、火災や紛失の心配はなく、法的にも信頼性が高い保管方法です。
作成後は以下の3部構成で保管されます:
- 原本:公証役場に厳重保管
- 正本:相続手続きに使用する写し(ご本人が保管)
- 謄本:内容確認用の写し(ご本人や指定の人が保管)
■ 誰がどこで探せるの?
2020年7月以降、作成された公正証書遺言は
**法務省の「遺言書検索システム」**で検索できます。
- 検索できるのは、本人が亡くなったあとに限られます。
- 相続人などが最寄りの公証役場で確認可能です。
- 遺言の有無・公証役場の所在地などがわかります。
つまり、仮に家族が正本を紛失しても、公証役場を通じて発見できる仕組みが整っています。
■ 家族にはどこまで伝えておくべき?
大切なのは、「遺言があること」と「探す方法」が家族に伝わっているかです。
以下のような伝え方が考えられます。
● 最低限伝えておきたい内容
- 「公正証書遺言を作成した」という事実
- 作成した公証役場の名称・所在地
- 遺言に関する相談相手(行政書士、弁護士など)
● 伝える相手は?
- 通常は相続人(配偶者・子)
- 特定の財産を託したい人(受遺者)にも一言伝えておくと安心です
● 書き置きの活用
話しづらい場合は、「遺言がある旨を書いたメモ」を保険証や通帳などの重要書類に添えておくのも一案です。
■ まとめ:遺言は「作ること」だけでなく「伝えること」が大切
遺言は、遺された家族が初めて知ることになる大切なメッセージです。
内容を全部伝える必要はありませんが、「存在」と「連絡先」だけは伝えておきましょう。
きちんと想いを届けるために、保管と伝達も計画的に整えておくことが安心につながります。
次回(第10弾)のテーマは
「遺言にまつわるよくある誤解と正しい知識」
「口頭でも効力がある?」「全財産を長男に渡せる?」など、誤解されがちな点をわかりやすく解説します。

