第10弾:遺言にまつわるよくある誤解と正しい知識
遺言書は身近なものになりつつありますが、
実際には誤解や思い込みに基づいて作成してしまうケースが少なくありません。
最終回となる今回は、遺言に関する代表的な誤解と正しい知識をお伝えします。
■ 誤解①:遺言書があればすべてがその通りに実現される
正しくは…
遺言があっても、相続人全員の同意や手続きが必要になることがあります。
特に以下のような場合には注意が必要です:
- 不動産登記には法務局での名義変更手続きが必要
- 預貯金の引き出しには金融機関での確認と手続きが必要
- 相続人全員での協議や承諾が求められることもある
法的効力のある公正証書遺言でも、すぐに「自動的に分配」されるわけではありません。
■ 誤解②:「全財産を長男に相続させたい」と書けば他の相続人は受け取れない?
正しくは…
他の相続人には遺留分(いりゅうぶん)という最低限の取り分が認められています。
たとえば、配偶者や子どもには法定相続分の1/2が遺留分として保障されており、
遺言で無視したとしても、「遺留分侵害額請求」がなされることがあります。
■ 誤解③:口頭で伝えておけば十分。メモ程度でも有効?
正しくは…
法的効力を持つ遺言書には、方式が厳格に決められています。
たとえば自筆証書遺言は、以下を満たさないと無効になります:
- 全文を自筆で書く(※一部は緩和あり)
- 日付・署名・押印がある
- 形式不備がない
また、録音・ビデオ遺言・口約束などは基本的に無効です。
■ 誤解④:まだ元気だから、遺言なんて早すぎる?
正しくは…
むしろ元気なうちにこそ、冷静な判断としっかりした準備ができるのが遺言書の最大の価値です。
判断能力が衰えてからでは、作成自体が無効とされる可能性もあります。
■ 正しい知識が、家族の安心につながる
遺言は、家族に安心を残すもの。
しかし誤解したまま作成すると、かえってトラブルの火種になりかねません。
正しい知識をもって、自分の想いを形にし、きちんと「遺される人に届く形」で整えておきましょう。
これでシリーズ
**「遺言作成ガイド ~家族に想いを伝えるために~」**は完結です。
ここまでお読みいただいた皆様が、遺言書を前向きにとらえ、
家族への想いを「かたち」にできることを願っています。

