【医療と法務|第6回】

「延命は望まない」母の意思を支えた医療同意書

~がんと命の選択に備える(※想定事例)~

治療が難しい段階に入ったとき、「本人の意思」が家族や医療者にきちんと伝わっていないと、最期の医療方針を巡って混乱が生じることがあります。
今回は、**事前指示書(医療同意書)**を遺したことで、母の希望が尊重された想定事例をご紹介します。


「延命は希望しない」と語った母の想い

70代の女性Cさんは、大腸がんの再発後に抗がん剤治療を中止し、緩和ケア中心の在宅療養に切り替えました。
本人は穏やかに過ごすことを希望していましたが、遠方に住む長女は「できることは何でもしてあげたい」と治療継続を主張。
意見の相違が顕著になり、主治医も対応に困っていました。

「私の気持ち、きちんと残しておける方法はないの?」

Cさんが口にしたこの一言をきっかけに、医療と法務の支援体制が動き出しました。


医療同意書の作成と家族の理解

行政書士と医師の協力により、Cさんの意思を明記した「医療同意書(事前指示書)」が作成されました。
内容の例は以下の通りです:

  • 意識がなくなった場合の延命措置は希望しない
  • 最期は自宅で家族に囲まれて過ごしたい
  • 苦痛の緩和を最優先にしてほしい

また、**付言事項として「家族への感謝と理解を求める気持ち」**も記載されました。

この文書をもとに、医師・看護師・家族で話し合いを行い、Cさんの意思が共有されました。


亡くなるその日まで「らしさ」を守れた最期

数週間後、Cさんは家族に囲まれながら、自宅で静かに最期を迎えました。
医師は「事前に文書があったからこそ、迷いなくケアに専念できた」と語り、長女も「母の気持ちに寄り添えたことが結果的に良かった」と振り返りました。


文書は、「言えない気持ち」を伝える手段

がんと向き合うとき、本人の気持ちが明確でも、それが“共有されている”とは限りません。
事前指示書のような文書は、医療的にも法的にも家族を支える手段になります。


自分の最期を「誰か任せ」ではなく、「自分の言葉」で選ぶ。
それを支えるのが、医療と法務の連携です。


次回は、「医療的意思決定と家族信託」について、法務の視点から解説します。

[第7回|行政書士事務所FLWの解説記事を読む]


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