【医療と法務|第10回】

延命治療を望まない父の選択

~家族の迷いをなくした“1枚の文書”~

※本事例は想定に基づくフィクションです。実在の人物・事例とは関係ありません。


想定事例|Bさん(78歳・男性/末期胃がん・要介護2)

Bさんは、数年前に妻を亡くし、現在は長男家族と同居中。
2年前から胃の不調が続き、検査の結果、末期の胃がんが判明。
主治医からは「延命治療か、緩和ケアか」という選択を迫られました。


「延命治療は望まない。最後まで自分らしくいたい」

Bさんは医師との面談後、家族にこう伝えました:

「もう十分生きた。
何本も管につながれて、苦しい思いはしたくない。
最後まで家にいて、孫の声を聞いていたい。」

しかし、家族には迷いがありました。


家族の不安:「本当に延命しなくていいのか」

長男:「父の意思はわかる。でも、いざその時になったら…」
長男の妻:「本人は“望まない”と言っても、責任を取るのは家族よね…?」

医師も慎重です。「ご家族が希望されれば、処置は可能です」と。


選んだのは「公正証書による医療意思表示」

Bさんは行政書士に相談し、以下の内容を明確に残しました:

  • 終末期においては延命処置を希望しないこと
  • 緩和ケアの実施は希望すること
  • 判断不能になった場合、長男に代理決定権を与えること
  • 死後の処理(葬儀・遺産)に関する公正証書遺言

医師の判断、家族の安心

ある晩、Bさんの容態が急変。
長男が公正証書を提示したことで、医療チームは速やかにBさんの意思に沿って対応。
結果、最期は穏やかな時間を家族とともに過ごすことができました


意思を法的に「伝える」という選択

口頭では伝えたつもりでも、医療現場では“法的な証明”が必要になることがあります。
「延命治療をしない」という強い意思も、文書で明文化しなければ周囲は動けません。


最期まで自分らしくあるために

延命治療の有無は、患者にとっても家族にとっても難しい選択です。
でも、「想いを残してくれていたこと」が、残された家族にとっての支えになるのです。


シリーズ最終回までご覧いただき、ありがとうございました。
今後は、テーマ別に医療と法務の新しいシリーズを企画予定です。


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