【想定事例】「託したからこそ守られた暮らし」
~任意後見契約が支えたALS患者の在宅生活~
長野県須坂市に暮らす70代の男性Cさんは、ALSと診断されたあと、長年暮らしてきた自宅での療養を希望しました。
病状は徐々に進行し、手足の自由がきかなくなり、会話も困難に。
しかし、Cさんは発症初期の段階で任意後見契約を締結しており、その準備が生活の安定を支えました。
❖ 任意後見契約を結んだ理由
Cさんは、次のような不安を抱えていました:
- 預貯金の管理が難しくなること
- 必要な福祉サービスや介護用品の契約手続きが自分でできなくなること
- 詐欺や悪徳商法へのリスクもあること
そこで、信頼する姪と、行政書士を通じて公正証書で任意後見契約を締結。
「今後、自分に代わって財産管理や手続きを任せる」内容でした。
❖ 発効と後見人のサポート
Cさんの病状が進行したタイミングで、家庭裁判所に任意後見開始の申立てが行われ、
正式に姪が「任意後見人」として選任されました。
姪は後見人として:
- 毎月の年金や預貯金を管理し、訪問介護費用を支払う
- 電話勧誘や不審な郵便をブロック
- 自宅改修や福祉用具レンタルの契約なども代理で実施
Cさんは療養生活に集中することができ、「姪が全部やってくれるから安心」と、文字盤で笑顔を見せていました。
❖ 本人の意志が「続いていく」
Cさんは、あらかじめ公正証書に残していた「自宅で過ごしたい」という希望通り、
施設への転居を避け、在宅での看取り体制まで整えることができました。
任意後見契約を通じて、本人の意思が継続され、形として実現された例です。
❖ ALSと後見制度の相性
ALSのように「判断力は残るが、意思表示が困難になる」病気にこそ、
任意後見制度は非常に有効です。
- 誰に託すかを自分で決められる
- 将来の生活設計を含めた支援を依頼できる
- 第三者が介入することで不正やトラブルも防げる
Cさんのように、「できるうちに備えること」で、病と向き合う安心が得られます。
法的な備えが、医療や介護の土台を支えてくれる――
そんな事例のひとつです。
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