――認知症と診断された母と、遺せなかった遺言
事例概要
千曲市に住むMさん(50代女性)は、同居する80代の母親の介護をしながら暮らしていました。
母にはもう一人の子ども(兄)がいましたが、遠方に住んでおり、介護にはほとんど関わっていませんでした。
Mさんは、「将来、兄が財産を半分要求してきたら納得できない」と感じていましたが、
母はもともと口数が少なく、「遺言なんて縁起でもない」と耳を貸してくれませんでした。
そんな中、母が認知症と診断され、徐々に判断力が失われていきました。
起こったこと
- 認知症の進行により、遺言を作成できる判断能力(遺言能力)を失ってしまった
- 母の死後、兄は法定相続分を主張し、実家の売却と現金化を求めてきた
- 長年の介護や生活費の援助について、Mさんの主張は「感情論」として退けられた
遺言があれば防げたこと
- 同居・介護をしていたMさんに多くの財産を残すという母の「思い」を、法的に確かな形で遺せた
- 相続分の指定と理由を明確にすることで、兄からの一方的な主張を抑えられた
- 遺言執行者を指定しておくことで、スムーズに手続きが進められた
解説
公正証書遺言を作成するには、遺言を理解し、自分の意思で判断できる力(遺言能力)が必要です。
認知症が進行してからでは、たとえ家族が希望しても作成できないことがあります。
「まだ元気だから大丈夫」ではなく、元気なうちに備えることが最も確実な対策です。
遺された家族が困らないためにも、早めの準備が何より大切です。

