――介護と法務の負担に追われる長女の現実
事例概要
長野県内に住むHさん(40代女性)は、兄とともに高齢の両親を見守ってきました。
母親は軽度の認知症を患っており、日常生活には介助が必要でした。
そんな中、突然父親が自宅で倒れ、帰らぬ人となります。
父は遺言を残しておらず、相続手続きが始まりましたが、母には判断能力が乏しく、法定後見制度の利用が避けられない状況となりました。
起こったこと
- 母が相続人である以上、遺産分割協議には後見人の関与が必要
- 家庭裁判所への後見申立てと相続手続きが同時並行となり、精神的・時間的負担が増大
- 後見人が選任されるまで数か月待機、その間は預金の一部も動かせず
- 長女のHさんは、「父が遺言を残してくれていれば…」と強い悔しさを抱いた
公正証書遺言があれば防げたこと
- 父が遺言で遺産の分け方を指定しておけば、遺産分割協議そのものが不要に
- 認知症の母が相続人となっていても、後見人の選任手続きは不要だった可能性も
- 遺された配偶者の生活と介護にすぐにお金を使える状態を確保できた
解説
高齢夫婦の一方が亡くなった際、残された配偶者に認知機能の低下が見られると、
相続における「協議そのものができない」という状況に直面します。
公正証書遺言は、法定後見制度の申立てを回避できる場合がある、実務上非常に効果的な方法です。
相続と介護の負担が重なる前に、「いざという時」の備えとして、ぜひ選択肢に加えてください。

