――前妻の子と現在の家族が「遺産分割」をめぐって対立
事例概要
Mさん(70代男性)は、60代で再婚。前妻との間に成人した子ども(長男)が1人、現在の妻(再婚相手)との間に未成年の娘が1人いました。
Mさんが急逝し、遺言書を残していなかったため、法定相続による手続きが必要に。
相続人は、現妻・前妻の子(長男)・未成年の娘の3人。
しかし、財産の大部分はMさんと現妻が住んでいた自宅と預貯金で、分け方をめぐり深刻な対立に発展しました。
起こったこと
- 前妻の子(長男)は「法定相続分(1/4)を現金で支払ってほしい」と主張
- 現妻は「住む家を失うわけにはいかない」と支払いに難色
- 話し合いは決裂し、調停へ。費用・時間・精神的負担が大きくのしかかった
- 娘(未成年)の法定代理人の問題も加わり、手続きはさらに複雑化
公正証書遺言があれば防げたこと
- 「自宅は現妻に相続、長男には預貯金から一定額を遺贈」など、バランスを考慮した意思表示が可能
- トラブルの芽を事前に摘み、家族同士の対立を防ぐことができた
- 成年後見制度の活用や信託等を併用すれば、未成年の娘の生活も守れた
解説
再婚家庭では「誰に、どれだけ、何を遺すか」を明確にしなければ、
前婚の子と現配偶者の間に大きな摩擦が生じます。
遺言がなければ、民法に基づく“自動的な分配”に従うしかなくなり、結果的に全員が不満を抱えることにも。
公正証書遺言は、複雑な家族構成にこそ必要なツールです。
次回は、「遺言がないまま認知症になり、作成できなくなったケース」をご紹介します。
身近に起こりうる例として、ぜひご覧ください

