――付言事項がきっかけで話し合いができた遺産分割
事例概要
Aさん(74歳・男性)は妻に先立たれ、子ども2人(長男・長女)がいます。
兄妹の仲は良いとは言えず、相続が揉めることを心配したAさんは、公正証書遺言の作成を検討しました。
財産は自宅不動産と預貯金が中心で、「長男が家を継ぎ、長女には預貯金を多めに渡す」という形を考え、遺言に記載。
さらに、遺言書の最後には**「2人で助け合って、家族の絆を大切にしてほしい」という付言事項**を加えました。
起こったこと
- Aさんが亡くなり、遺言に沿って相続手続きが進められた
- 長女は「なぜ家を継ぐ長男が不動産をもらえるのか」と疑問を感じ、手続きを保留
- しかし遺言の付言事項に記された父の想いを読んで、気持ちが変化
- 長男も「現金を追加してバランスを取ろう」と譲歩し、円満な遺産分割が成立
公正証書遺言+付言事項の効果
- 財産の配分だけでなく、遺された家族への想いを言葉で伝えられる
- 法的効力はないが、相続人の心情に大きな影響を与えることが多い
- 感情的な対立が起こりがちな場面でも、“言葉の力”が争いを未然に防ぐ
解説
遺言書は単なる「分け方の指示」ではありません。
そこに想いを乗せることで、相続人の心にも届くメッセージになります。
特に公正証書遺言では、付言事項も記録に残る形で確実に伝えることができます。
“争族”を避ける最善の準備は、相続の数字だけでなく、気持ちも伝えることです。
次回は、「不動産を共有相続してしまった結果、処分や利用で揉めたケース」をご紹介予定です。
ぜひご覧ください。

