【想定事例】「もっと早くに…」認知症が進んだ後では遺言は作れない

――元気なうちの準備が、ご本人と家族を守ります


事例概要

Dさん(79歳・女性)は、2人の娘に財産を残したいと考えていましたが、
「まだ元気だし、いつでもできる」と遺言書作成を先延ばしにしていました。

そんな中、軽度認知症と診断され、次第に物忘れや判断力の低下が目立つように。
長女から公正証書遺言の作成を勧められましたが、医師の判断により「遺言能力が不十分」とされ、作成を断念することに…。


起こったこと

  • 判断能力の低下により、公証人から「作成は困難」と判断される
  • 書きかけの自筆証書遺言はあったものの、不備が多く無効となる
  • 相続は法定相続分通りに分けられることに
  • Dさんが生前に話していた「次女には多めに渡したい」という意思は実現されなかった

なぜこの事態になったのか

  • 遺言は「意思能力(判断力)」があるうちにしか作成できない
  • 公正証書遺言では、公証人が遺言者の判断能力を確認し、不十分な場合は作成不可
  • 認知症の進行具合によっては、たとえ家族の希望があっても法的に遺言として認められない

公正証書遺言で防げたこと

  • 判断力がしっかりしているうちに公正証書遺言を作成しておけば、本人の意思が確実に反映された
  • 医師の診断前に作成していれば、「遺言能力あり」として効力ある遺言が残せた
  • 争いや誤解も生まず、娘たちの信頼関係を守る結果にもつながった可能性がある

解説

遺言は「いつか書けばいい」ものではなく、「今の自分の意思」を残す手段です。

特に公正証書遺言では、
公証人が遺言者の「意思能力」を厳しく確認するため、元気なうちに作成しておくことが何より大切です。

ご本人の希望を正確に反映させたいなら、「まだ早いかも」ではなく「今だからこそ」
将来に備えた準備こそが、後悔のない相続への第一歩になります。


次回は、「再婚後の家族関係を遺言で整えていたケース」についての想定事例をご紹介します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です