【想定事例】「延命よりも、自分らしい最期を」
~意思決定を支えた遺言・事前指示・死後事務~
長野市のJさん(80代・男性)は、前立腺がんの転移が進行し、医師から「延命治療の選択」を提案されました。
しかしJさんは迷わずこう言います。
「延命よりも、痛みの少ない、穏やかな最期を迎えたい」
そう話すJさんの希望は明確で、**「自分らしい最期の迎え方を準備しておきたい」**というものでした。
❖ ご相談時の状況
- 医師からは「今後は抗がん剤も効果が乏しくなる可能性が高い」と説明を受けていた
- 一人暮らしで身寄りは少なく、最期をどう迎えるかに強い不安があった
- 相続に関する希望は既に整理していたが、「死後のこと」までは準備できていなかった
❖ Jさんが選んだ3つの備え
✅ 1.公正証書遺言
- 財産の多くを、若い頃世話になった姪に相続させる内容
- 介護施設の入居一時金や生活残高の処理も含めて指定
✅ 2.事前指示書(リビング・ウィル)
- 延命措置の拒否、人工呼吸器や経管栄養の不使用を明文化
- 「可能な限り緩和ケアを優先」と明記
- かかりつけ医と共有し、施設側でもファイル保管
✅ 3.死後事務委任契約
- 死後の葬儀、施設退去、病院や市役所への手続きなどを一括委任
- 遺言執行者とは別に、死後事務を担う専門職後見人を指定
❖ 最期まで「納得」をもって
Jさんはその後、緩和ケア病棟へ転院。
延命治療を避けながらも、痛みのコントロールと家族との面会に重点を置いた穏やかな療養を送りました。
「全部決めておいたから、何も悩まずに済んだ。
家族に負担をかけず、安心して“さよなら”できる。」
Jさんのご逝去後も、事務手続きは契約に基づいて円滑に進められ、姪からは「伯父の想いがすべて形になっていた」との声が寄せられました。
❖ 延命治療に“同意しない”という選択も備えのひとつ
- 法律的には、「事前指示書」による延命措置拒否は拘束力を持ちません
- しかし、医師や家族に意思を明確に伝えるための重要な手段です
- 「遺言」と「死後事務」とあわせて活用することで、“生と死の自己決定”を実現できます
❖ 医療と法務が連携することで支えられる“最期の希望”
終末期をどう過ごすかは、法律の問題ではなく、“生き方”の問題でもあります。
しかし、準備が整っていれば、本人の意志を実現することは可能です。
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