事例概要
Yさん(85歳・女性)は、5年前に夫を亡くし、以後は長男夫婦と同居して暮らしてきました。長男夫婦は、介護や生活の支援などを担ってきたこともあり、Yさんは「自宅や財産は長男に継いでもらいたい」と考えるようになります。
一方で、次男と長女とはそれぞれ家庭を持ち、遠方で暮らしており、介護や日常的な支援に関与していませんでした。
「法定相続では均等分割になるが、このままでは長男に不公平感を与えてしまうのでは…」
そんな不安から、公正証書遺言の作成を決意しました。
遺言の主な内容
- 自宅不動産は長男に相続させる旨を明記
- 預貯金の一部を他の兄弟姉妹に配分することで、遺留分に配慮
- 長男の介護への感謝と事情説明を付言事項で丁寧に記載
- 遺言執行者には長男を指定し、相続手続を簡潔に進められる体制を構築
遺言によって実現できたこと
- 同居していた長男に現実的かつ合理的な財産の承継
- 他の相続人にも一定の配慮を示すことで不公平感を緩和
- 財産分配の背景が明示されており、トラブル予防に寄与
解説:同居家族の相続における課題
- 相続法上、同居や介護の有無は考慮されにくい
- 遺産分割協議がもつれる原因のひとつが、「現実の貢献と相続のズレ」
- 遺言での意思表示が、公平な評価と感情的対立の回避につながる
ポイント
- 生活・介護の実態に即した遺産配分を考慮する必要がある
- 付言事項で家族への想いを伝えることがトラブルを防ぐ鍵
- 形式だけでなく「なぜその配分にしたのか」を明らかにする遺言が有効

