✍ もしものときに備える「尊厳死宣言書」とは?

〜延命治療の希望を文書に残すという選択〜


■ はじめに

「自分の最期は、自分で決めたい」――そう考える方が増えています。特に高齢の方や、病気の治療中に将来を見据える方から、「延命治療を望まない」「自然なかたちで看取られたい」といった希望が聞かれることがあります。

しかし、その意思を口頭で家族に伝えていただけでは、いざというときに医療機関で共有されず、希望と異なる治療が行われてしまう可能性もあります。
そのようなリスクを避けるために役立つのが、「尊厳死宣言書(リビング・ウィル)」です。


■ 尊厳死宣言書とは?

尊厳死宣言書とは、回復の見込みがない終末期において、自分の意思で延命治療を望まないことを文書で表明するものです。
これは医療行為の一部を拒否する意思表示であり、本人が元気なうちに作成しておくことが必要です。

公正証書として残すことで、医療機関や家族、施設などに対して強い意思表示として活用されます。


■ 想定事例:回復の見込みがない治療は望まない

70代の男性が、慢性的な心不全と初期のがん治療を受けながら、将来の治療方針について考えていました。
「もし寝たきりで管につながれたままの状態になるなら、自然に任せてほしい」という本人の希望により、家族と相談のうえ、尊厳死宣言書を作成することを決めました。

書面には「本人が意識不明などで意思表示できない状態にある場合、心肺蘇生や人工呼吸器などの延命措置を行わないことを希望する」といった内容が明記されました。

医師からの助言を得ながら、行政書士が書面作成を支援し、公証役場での手続きを通じて公正証書として残しました。
将来、万が一のときにも、家族が迷わず本人の意思を尊重できるよう備えることができた形です。


■ 行政書士がお手伝いできること

尊厳死宣言書は、法的に定められた書式があるわけではありませんが、誰に何を伝えたいかを明確に書面化することが大切です。

行政書士は以下のようなサポートを行うことができます。

  • 本人の希望を整理するためのヒアリング
  • 書類の文案作成
  • 公正証書化に向けた手続きサポート
  • 必要に応じた死後事務契約や任意後見契約との連動案の検討

※医療的判断や治療方針の決定に関わることはできません。


■ 医療現場とのすれ違いを防ぐために

私自身、医療分野での勤務経験があり、がんや慢性疾患の治療を受ける患者さんやご家族が「気持ちを整理できていないまま」治療に進んでしまう場面を多く見てきました。

だからこそ、元気なうちに「こうしてほしい」と伝える準備があることの重要性を実感しています。


■ おわりに

尊厳死宣言書は、自分らしい最期を選ぶための意思表示です。
書類を作成しておくことは、ご自身の尊厳を守るだけでなく、ご家族が迷いなく判断できる支えにもなります。

医療と法務のはざまで不安を感じることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。本人の想いをかたちにするお手伝いができるかもしれません。

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