「障がいのある子どもの将来を見据えて」

― 支援が必要な相続人への配慮を込めた遺言書


【想定事例】

Fさん(76歳)は、妻を早くに亡くし、3人の子どもを育て上げました。
うち次女のGさん(40代)は、知的障がいのある当事者で、現在も福祉施設に通所しながら生活しています。

Fさんは、他の兄弟に迷惑をかけず、Gさんが今後も安定して暮らしていけるよう、遺言による相続設計を考えるようになりました。


■ モデル遺言書(公正証書遺言の想定文)


第1条 長女Hに対し、長野市〇〇所在の自宅不動産を相続させる。
第2条 長男Iに対し、上記不動産を除く預貯金のうち、1,000万円を相続させる。
第3条 次女Gに対し、以下の条件で財産を遺贈する。
    一.Gの生活支援・医療・福祉サービスに充てることを目的とし、
    二.信頼できる第三者を受遺者(信託的管理者)として指定する。
    三.その者に財産の管理・支出・記録保持を委ねる。
第4条 本遺言の遺言執行者として、行政書士または弁護士Jを指定する。

付言事項:
Gのことは、家族でこれまで大切に守ってきました。今後も誰か一人が背負うのではなく、
それぞれの立場で、あたたかく支えていってくれることを願っています。


■ ポイント解説|支援が必要な子どもへの相続

① 法定相続とは異なる「目的性ある財産配分」

  • Gさんに財産をそのまま渡すと、福祉制度の対象外になる可能性がある(生活保護・障害年金等)
  • そこで、**信託的な管理方式をとって「名義は他人・利益はGさん」**という設計に

② 「特定遺贈+第三者管理」で現実的な運用を想定

  • 財産管理が本人では難しい場合、信頼できる人に任せることでトラブル防止
  • 成年後見制度を利用せず、家族の中で柔軟に対応できる余地を残すことも検討できる

■ 対応の工夫|このようなケースで検討したいこと

  • 障がい者扶養共済制度、福祉信託、任意後見契約などの制度との組み合わせ
  • 受遺者・執行者の選定においては、信頼と専門性の両面を考慮する
  • 長期的な視点で、「誰が、何を、どのように支えるか」を具体的に設計しておく

■ 結びに

家族の誰かが支援を必要としているとき、
遺言は**“残す人”の想いと、“残された人”の安心をつなぐ設計図**になります。

ただ単に「多く遺す」ではなく、
「どう守るか」「誰が支えるか」まで考えることが、本当の相続設計です。

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