「記載漏れ」が招いた相続トラブル
◆ 導入
自筆証書遺言では、財産の一覧を「財産目録」として添付できます。
目録はパソコンで作成しても良いとされていますが、不備や漏れがあると大きなトラブルの原因になります。
◆ 想定事例|S家の場合(長野県内・想定)
Sさん(79歳・男性)は、妻に先立たれ、子どもは2人(長男・長女)。
自筆証書遺言で「長男に不動産を、長女に預金を相続させる」と記載し、
別紙の財産目録を添付しました。
しかし、その目録には…
- 預金のうち、1つの口座が記載漏れ
- 土地の地番が一部誤記
- 証券口座については「株式あり」とだけ記載し銘柄や数量は未記載
◆ 結果
長女が「父は私に預金を全て渡すつもりだった」と主張し、
長男は「書かれていない口座は法定相続で分けるべき」と反論。
記載誤りの土地は登記変更できず、
結局、家庭裁判所の遺産分割調停に発展。
父の意思が完全には反映されませんでした。
◆ 専門家の視点からの教訓
- 財産目録は「漏れなく」「正確に」記載することが必須
- 不動産は登記事項証明書をもとに正確な地番・面積を記載
- 預金は銀行名・支店名・口座番号まで明記
- 株式・投資信託は銘柄名と数量まで明記
- 記載に迷った場合は専門家に確認を依頼するのが安全
◆ 医療と法務の視点から
高齢や療養中の方は、財産の把握が難しくなることがあります。
入院や通院が続くと、古い通帳や使っていない口座を見落とすケースも多いです。
医療や介護の支援を受ける家族と協力しながら、
「一覧表を作るプロセス」そのものが家族間の共有の場にもなります。
◆ まとめ
✅ 財産目録は「正確さ」と「漏れのない記載」が命
✅ 小さなミスや漏れが、相続全体を揺るがすこともある
✅ 元気なうちに、専門家のサポートを受けて作成するのが安心

