「前立腺がんです」
医師からそう告げられた瞬間、頭の中が真っ白になったという方は少なくありません。
不安、恐怖、怒り、戸惑い――。どんな気持ちが湧いてきても、それはとても自然なことです。
ここでは、前立腺がんと診断されたときに多くの方が感じる心の変化と、
その中でどのように自分の気持ちを整理していけばよいかを、少しやさしい言葉でお伝えします。
1. 「がん」と言われた直後の混乱は、誰にでも起こることです
診断を受けた直後は、多くの方が「何をどう考えればよいのか分からない」という状態になります。
「自分ががんになるなんて信じられない」「もう仕事も生活も終わってしまうのではないか」といった思いが次々に浮かんでくるかもしれません。
しかし、こうした反応は特別なものではなく、人が大きな衝撃を受けたときに起こる自然な反応です。
時間が経つにつれて、少しずつ気持ちは落ち着き、冷静に状況を整理できるようになっていきます。
焦らず、「今は混乱して当たり前」と受け止めることから始めてください。
2. 心は段階を経て、少しずつ現実を受け入れていきます
がんと向き合う過程では、誰しもがさまざまな感情を行き来します。
心理学では次のような段階をたどることが多いといわれています。
- 否認:「何かの間違いでは?」
- 怒り:「どうして自分が」「もっと早く検査していれば…」
- 取引:「治療を頑張れば元に戻れるのでは」
- 抑うつ:「何もする気が起きない」「将来が怖い」
- 受容:「現実を受け止めて、これからのことを考えよう」
これらは病気を理解し、前を向いていくための自然な心のプロセスです。
「気持ちを強く持たなければ」と無理をする必要はありません。
ご自身のペースで、ゆっくりと心を整えていけば大丈夫です。
3. 情報の多さに振り回されないために
診断を受けたあと、多くの方がインターネットやSNSで「前立腺がん 治療法」などを検索します。
しかし、ネット上には古い情報や、医学的に正確でない内容も少なくありません。
医療の進歩は日々進んでおり、治療法の選択肢も個人の状態によって大きく異なります。
不確かな情報に振り回されてしまうと、不安がさらに強くなってしまうこともあります。
信頼できる情報源としては、以下のようなものがあります。
- 主治医や看護師などの医療チームからの説明
- 病院内の「がん相談支援センター」
- 厚生労働省や国立がん研究センターなど公的機関の情報サイト
わからないこと、不安なことは、遠慮せずに医師や相談員に尋ねてください。
4. 家族や身近な人と、少しずつ気持ちを共有する
前立腺がんの診断は、ご本人だけでなくご家族にとっても大きな出来事です。
「心配をかけたくない」と思うあまり、一人で抱え込んでしまう方もいますが、
誰かに気持ちを話すことは、心を守るうえでとても大切です。
もしすぐに話す気になれないときは、メモや手紙にして気持ちを書き出してみるのもよい方法です。
また、病院や自治体にはがん経験者の患者会や心理相談窓口もあります。
同じ経験をした人の話を聞くだけでも、「自分だけではない」と感じられることがあります。
5. 「これからどう生きるか」を考える時間を持ちましょう
気持ちが少し落ち着いてきたら、今後の治療や生活、家族への思いについて考える時間を持ってみてください。
医療の選択だけでなく、自分の意思をどう残すかを整理することも、安心して前に進むために大切なことです。
たとえば、
- 治療や介護に関する希望を文書にしておく「任意後見契約」
- 財産や想いを家族に伝えるための「遺言書」
などの手続きは、病気の進行に関わらず、早めに準備しておくと安心です。
これらは「死を意識するためのもの」ではなく、
“これからをどう生きるか”を支えるための仕組みです。
元気なうちに整理しておくことで、ご自身もご家族も安心して治療に専念できます。
6. まとめ|不安は一人で抱えず、信頼できる人に話してみてください
がんと診断されたとき、人は誰でも動揺します。
泣いても、怒っても、怖くてもかまいません。
そのすべてが、病気と向き合うための自然な反応です。
少しずつ現実を受け止め、自分の気持ちを整理していく中で、
信頼できる人や専門家に話してみることが、不安を軽くする第一歩になります。
もし今、「どうしたらいいのかわからない」と感じているなら、
焦らずに、今日できる小さなことから始めてみてください。
あなたの歩みを支えてくれる人や仕組みは、必ずそばにあります。
(補足)
本記事は、前立腺がんと診断された方やそのご家族の心の整理をサポートするための一般的な内容です。
医療的な判断が必要な場合は、必ず主治医または専門機関にご相談ください。
将来に備えた法的な手続きやご相談については、行政書士などの専門家がサポートできます。

