控除できる医療費にはどんなものがある?
― 対象になる支出・ならない支出をわかりやすく整理 ―
医療費控除は、「治療のために支払った費用」 の多くが対象になります。
しかし、医療費といっても範囲が広く、何が控除できて何ができないのか判断が難しいという声がよくあります。
ここでは、代表的な「対象」「対象外」 をわかりやすくまとめます。
① 控除できる医療費(代表例)
治療に直接必要な費用は、ほぼすべて医療費控除の対象になります。
■ 1. 医療機関で支払う費用
- 診察料
- 治療費
- 入院費
- 手術代
- 処置・検査の費用
- 産婦人科での出産費用(正常分娩を含む)
- 分娩に伴う入院・管理料
ポイント
病気の治療はもちろん、妊娠・出産も控除対象となります。
■ 2. 処方された薬の費用
- 処方薬代
- 医師の指示による漢方薬
市販薬は原則対象外 ですが、
「セルフメディケーション税制」を使えば対象になる市販薬もあります。
■ 3. 通院・入院にかかった交通費
- 病院までの電車代・バス代・タクシー代
- 子どもや高齢者の付き添いの交通費
- 急病でやむを得ず使用したタクシー代
ポイント
✔ 自家用車のガソリン代・駐車場代は対象外
■ 4. 治療に必要な器具・設備
医師の指示がある場合に限り、次のようなものも対象になります。
- 義歯(入れ歯)
- 義手・義足
- 補聴器
- 眼鏡(治療用のもの)
- 歩行補助具(杖・車いすなど)
- 人工関節
- 介護用ベッド(医師の証明が必要な場合あり)
■ 5. 介護保険サービスの一部
医療系の介護サービスは控除対象になるものがあります。
【対象の例】
- 訪問看護
- 通所リハビリ
- 短期入所療養介護
- 特別養護老人ホームの医療費部分
【対象外の例】
- 家事援助
- 生活支援サービス
- 施設の居住費・食費
- 介護保険の「自己負担分」以外の料金
■ 6. 救急・治療のためのやむを得ない支出
- 救急車の利用
- 緊急で買った治療用品(包帯・ガーゼ等)
② 控除できない支出(間違いやすい部分)
以下は「医療費」に見えて控除対象外です。
■ 対象外の例
- 美容目的の施術(美容整形・ホワイトニングなど)
- 健康診断(※異常が見つかり治療につながった場合はOK)
- 予防接種(任意のもの)
- 健康食品・サプリメント
- マッサージ・整体(医師の指示なし)
- ガソリン代・駐車場代
- 病院での差額ベッド代(希望の場合)
③ 医療費控除の判断でよくある “グレーゾーン”
実務でよく質問がある部分です。
■ 出産費用は対象?
→ 対象。
ただし、マタニティグッズやベビー用品は対象外。
■ 入院中の食費は?
→ 差額の特別食は対象外。
通常の食事代は入院費に含まれ対象です。
■ 患者の付き添いで宿泊したホテル代は?
→ 原則対象外。
ただし、幼児の付き添いで病院の指示がある場合は対象になるケースも。
■ 介護タクシーは?
→ 治療に必要と認められる場合は対象となるケースあり(領収書必須)。
④ 遺言・相続との関係
医療費控除は「相続手続き」ともつながっています。
■ 1. 亡くなった後の医療費も控除できる
その年に支払った医療費は、
相続人が準確定申告で控除できます。
→ だからこそ領収書の整理が重要。
■ 2. 遺言書で“書類の保管場所”を共有すると家族が助かる
医療費控除に必要なものはとにかく量が多く、
- 領収書
- 明細書
- 医療保険の給付金
を家族が探すのは大きな負担になります。
遺言書とあわせて
- エンディングノート
- 書類保管ファイル
を準備しておくことで、相続時の混乱が大幅に減ります。
■まとめ
医療費控除は、治療のために支払った多くの費用が対象です。
特に、がん治療・長期入院・介護サービスなどは控除額が大きくなりやすく、申告することで数万円〜数十万円の還付が受けられることもあります。
とはいえ、控除対象の判定は複雑で、領収書の整理も大変です。
もしもの時に家族が困らないよう、日頃から書類をまとめ、遺言・エンディングノートで保管場所を共有しておくと安心です。
