死後事務委任契約があったことで「家族が立ち止まらずに済んだ話」
※本記事は想定事例です
■ 想定事例
80代女性・Dさん。
慢性心不全で通院と入退院を繰り返しながら、一人暮らしを続けていました。
配偶者には先立たれ、子どもは遠方在住。
Dさんは、次第にこんな不安を口にするようになります。
「もし急に亡くなったら、誰が何をしてくれるんだろう」
「子どもに全部任せるのは、負担が大きい気がする」
■ 元気な時期に決めた「もしもの後のこと」
体調が比較的安定していた時期、Dさんは
・葬儀は簡素でよい
・特定の宗教的儀式は希望しない
・施設や病院への支払いをきちんと済ませたい
という思いを整理しました。
そして、
**死後事務委任契約(公正証書)**を結び、
・葬儀・火葬・納骨に関する手配
・医療費・施設費の精算
・各種解約・行政手続き
を委任することにしました。
■ その数か月後、突然の急変
ある夜、Dさんは自宅で体調が急変し、そのまま帰らぬ人となります。
子どもは急いで駆けつけましたが、
・何から手を付ければよいのか
・どこに連絡すべきか
・母の希望は何だったのか
分からない状況でした。
しかし、死後事務委任契約があったことで、
・委任された内容に沿って手続きが進行
・子どもは判断を迫られ続けることがなかった
・「これでよかったのか」という迷いが少なかった
という結果になりました。
■ 家族が感じた「安心」
後日、子どもはこう振り返ります。
「母が自分で決めてくれていたから、
私たちは“見送ること”に集中できました」
慢性心不全のように、
いつ急変が起こるか分からない病気では、
残される家族の心の負担を減らす備えが、
非常に大きな意味を持ちます。
■ この事例が示す教訓
死後事務委任契約は、
・家族がいない人のためだけの制度
・特別な人が使う制度
ではありません。
慢性心不全のように、
・急変の可能性がある
・判断能力がある時期が限られる
病気だからこそ、
現実的な備えとして検討する価値があります。
■ 次回予告
次回は、
慢性心不全における「制度の組み合わせ方」
(遺言・任意後見・財産管理・死後事務)を、
解説として整理します。
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