第4弾:もしも「感謝の気持ち」を遺言で伝えたいとしたら
遺言書は「財産をどう分けるか」を記す法的な書類であると同時に、人生の最期に家族や大切な人に思いを伝える手段でもあります。その中でも、忘れがちだけれど大切なのが「感謝の気持ち」を形にすることです。
■ 言葉にしなければ、想いは伝わらない
生前はなかなか面と向かって「ありがとう」を言えないこともあるでしょう。支えてくれた配偶者、遠くに住む子ども、頻繁に連絡をくれた親族――その感謝を、遺言書で静かに伝えることができます。
例えば、「財産の分け方」の中に一言、こんなメッセージを添えるだけで、受け取る側の気持ちは大きく変わります。
「長年、介護をしてくれて本当にありがとう。感謝の気持ちを込めて、この預金をあなたに贈ります。」
このような言葉は、法的効力を持たない「付言事項(ふげんじこう)」として自由に記載できます。
■ 形あるものと共に、想いも伝える
特定の財産や思い出の品を託すときも、なぜそれをその人に渡したいのかを一言添えると、気持ちのこもった贈り物になります。
「この時計は、いつも私と一緒に過ごしてきた大切な品です。あなたに使ってもらえると嬉しい。」
ただし、感情面に偏りすぎると、他の相続人が不満を抱くきっかけにもなります。配分の理由や感情表現は、バランスを意識しながら記すことが大切です。
■ 法的な側面と感情の橋渡しを
感謝の気持ちは、遺言の中ではっきりと表現しても構いません。むしろ、形式的になりがちな遺言書に人間らしさを与えるのが、この「付言事項」です。
遺言書をただの「手続き」として終わらせず、「人生の手紙」として残すことで、ご家族の心に深く残る遺言になります。
次回(第5弾)のテーマは
「もしも『疎遠な家族』がいたらどう書く?」
です。遺言書を通して気持ちを整理し、相続トラブルを防ぐための工夫をご紹介します。

