前妻(前夫)との子どもがいる場合に遺言が必要な理由
現代の家族のかたちは多様化しています。
その中でも「再婚家庭」は珍しくありませんが、相続の面では思わぬ落とし穴が潜んでいます。
特に、前妻(または前夫)との間に子どもがいる場合は、しっかりと遺言で意思を示しておかないと、再婚後の配偶者に財産がほとんど渡らないことも。
今回は、再婚と相続の関係をわかりやすく解説し、遺言書の重要性をご紹介します。
1.相続の基本:配偶者と子どもが相続人
民法では、配偶者と子どもが第一順位の相続人とされています。
ここで重要なのが、「子どもは、誰との子どもであっても相続人になる」ということです。
つまり…
- Aさんが再婚してBさんと暮らしている
- Aさんには前妻との間に子どもCさんがいる
この場合、Aさんが亡くなったとき、**相続人は「再婚相手Bさん」と「子どもCさん」**になります。
2.実例:財産の半分が前妻との子へ
たとえば、Aさんが2,000万円の財産を残して亡くなった場合…
- 配偶者Bさん → 1,000万円(法定相続分:1/2)
- 子どもCさん(前妻との子) → 1,000万円(1/2)
このように、再婚後の配偶者は、全財産を相続できるわけではないのです。
しかも、子どもCさんがAさんと長年会っていなかったとしても、法的には一切関係なく権利を持っています。
3.トラブルの芽:こんなケースが危険
- 再婚後の配偶者が、長年介護・同居していた
- 前の子どもとは疎遠・不仲・連絡がとれない
- 再婚家庭の家や預金が、すべて相続の対象になってしまう
こうしたケースで、子ども側が強硬に取り分を主張すると、配偶者の生活が一気に不安定になります。
また、不動産を分けることが難しく、家を売らざるを得ないことも起こりえます。
4.遺言で意思を示せば、トラブルを防げる
このような不安を解消するには、「遺言」が有効です。
たとえば、
- 「すべての財産を配偶者Bに相続させる」
- 「前妻との子Cには、遺留分を考慮し〇〇万円を渡す」
など、自分の意思をはっきり記すことで、遺産の分け方に一定の法的効果を持たせられます。
ポイント:
- 子どもには最低限の「遺留分」があるため、それを侵害しないよう配慮が必要
- しかし、財産の大部分を配偶者に残すことは可能
5.公正証書遺言でトラブル回避+安心確保
特に再婚家庭では、自筆証書遺言よりも公正証書遺言がおすすめです。
理由は以下のとおりです:
- 家庭裁判所の検認が不要
- 公証人が内容をチェックしてくれるため、形式ミスの心配がない
- 原本が公証役場に保管され、紛失・改ざんのリスクなし
配偶者の老後の生活を守るためにも、きちんとした形での遺言作成がベストな選択肢となります。
まとめ:家族を守るための備えとしての遺言
再婚している場合、法律上の相続関係が複雑になりやすく、想定外のトラブルが起こることも珍しくありません。
ですが、きちんと遺言で意思表示をしておけば、
- 残された配偶者の生活を守る
- 不動産の処分や手続きもスムーズに
- 前妻との子どもとの不要な対立を回避
といったメリットが得られます。
再婚している方、特に子どもが前の配偶者との間にいる方は、早めの遺言作成をおすすめします。

