肺がんステージⅣと診断された母の決断(※想定事例)
これは、がんの診断を受けた後に「家族に迷惑をかけたくない」と強く願い、公正証書遺言の作成を決断した70代女性とそのご家族の想定事例です。
診断直後の不安と「子どもへの想い」
70代の女性Aさんは、咳が続くことをきっかけに受診し、肺がんステージⅣと診断されました。医師からは「治療は可能だが、完治は難しい。これからの生活をどう過ごすか、ご本人の意向を大切にしたい」と説明を受けました。
Aさんはご自身の体調よりも、離れて暮らす2人の子どもへの影響を気にしていました。
「できるだけ迷惑をかけたくない。残された時間で、自分がしておけることがあるならやっておきたい」
そう話したAさんは、自宅に戻った直後から、これまで整理してこなかった預貯金や不動産、思い出の品などの所在を確認し始めました。
公正証書遺言を選んだ理由
Aさんは、以前参加した地域の医療と法務のセミナーで「公正証書遺言なら、確実に自分の意志を残せる」と聞いたことを思い出し、行政書士に相談。体調が比較的安定しているうちに、公証人と面談し、遺言書を作成しました。
内容は次のようなものでした:
- 預貯金のうち半分は長女に、残りは次女に
- 実家の不動産は、今後も親族が集えるよう、長女に相続させる
- 思い出の品(指輪・写真アルバム)は、付言事項で次女へ
Aさんは、「これで心の荷が下りた」と穏やかな表情を浮かべたといいます。
残された家族の気持ち
数ヶ月後、Aさんは療養中に息を引き取りました。遺言はスムーズに執行され、相続手続きでも大きなトラブルは起きませんでした。
長女は「母がきちんと考えてくれていたのが伝わって、ありがたかった」と話し、次女は「形見の指輪を見るたびに、母の決断を思い出す」と語りました。
「遺す決断」が、家族の支えになる
がんの告知は、多くの人にとって人生の転機となります。そのときに「自分にできること」を見つけ、形にしておくことは、ご本人の安心だけでなく、家族にとっても大きな心の支えになります。
次回の投稿では、「がんによる入院と認知機能の低下」をテーマに、判断能力が揺らぎ始めたときに必要な法的備えについて解説します。
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