【医療と法務|ALS 第2回】

【想定事例】「声を失う前に、家族に伝えたかった」

~ALSと診断された50代男性の遺言と後見契約~


50代後半の男性Aさんは、長野市内で会社勤めをしていました。
3か月ほど前から言葉が出にくくなり、病院での精密検査の結果、「ALS」と診断されました。

徐々に話すことや書くことが難しくなる――
それがどれだけ早く進行するかは個人差があるとはいえ、「今のうちに自分の意思をはっきり残しておきたい」と考えたAさんは、行政書士と相談し、以下の手続きを進めることにしました。


❶ 公正証書遺言の作成

Aさんには妻と子がいましたが、遺産分けについては明確に自分の考えがありました。

  • 自分の介護に最も尽力してくれる妻に、持ち家を相続させたい
  • 子には、預貯金を公平に分けて残したい
  • 介護や医療に関する方針も、自分なりに伝えたい

口頭や自筆では困難になる前に、公正証書遺言として思いを文書にしました。
遺言には「延命治療は望まない」「苦痛の緩和を最優先に」という医療への考え方も添えられました。


❷ 任意後見契約の締結

遺言とは別に、「将来、判断力が低下した場合」に備えて、Aさんは妻を後見人とする任意後見契約を公正証書で締結しました。

さらに、もし妻に負担がかかりすぎるようであれば、第二後見人として信頼できる専門職(行政書士)がサポートに入る形も契約に盛り込みました。


❸ 家族の安心と、本人の納得感

ALSの進行は止められませんが、Aさんの言葉がまだ明瞭だったうちに、

  • 遺産の行き先
  • 延命治療の方針
  • 家族への想い

これらを**「法的に有効な形」で残すことができた**ことで、家族との関係に安心感が生まれました。


ALSという重い診断のもとでも、法的手続きで「自分らしさ」を残すことは可能です。
話せるうちに、動けるうちに――それが、本人にも家族にも「悔いを残さないための鍵」になるのです。


🔗 このシリーズの投稿一覧はこちらから

▶️ 行政書士事務所FLW|医療と法務

▶️ 長野県公正証書遺言作成サポート|医療と法務(想定事例中心)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です