【医療と法務|ALS 第4回】

【想定事例】「自分の人生の幕を、自分で引く準備」

~ALSと診断された女性の尊厳死宣言と家族の理解~


長野県中野市に住む60代の女性Bさんは、数か月前から手足の筋力低下を感じ、検査の結果「ALS」と診断されました。
病気の進行はまだ初期段階。しかし、過去に延命治療を望まず亡くなった母の最期を見届けていたBさんには、「延命装置を使わず、苦痛なく最期を迎えたい」という明確な考えがありました。


❖ できるうちに「形」に残す――尊厳死宣言書の選択

Bさんが行政書士に相談したのは、「声や文字が使えなくなる前に、自分の意思を残したい」というタイミングでした。
彼女が選んだのは公正証書による尊厳死宣言書の作成です。

内容は以下のようなものでした:

  • 自発呼吸が困難になった際、人工呼吸器の装着は希望しない
  • 回復の見込みがない終末期には、延命治療はせず、苦痛の緩和を最優先とする
  • 医師2名の判断が前提であること、家族の同意を必要とすることも明記

❖ 家族とともに作る「安心」

尊厳死宣言書の作成にあたって、Bさんは夫と二人の子どもにも説明をしました。
「つらい選択かもしれないけれど、自分の気持ちを尊重してほしい」
その願いに、家族も静かに頷きました。

後日、公証役場で正式に公正証書を作成。
その控えは家族と主治医にも渡し、Bさんの希望が確実に届く体制が整えられました。


❖ 「言えなくなる前に」こそ、法的手続きの力

ALSのように進行性の病を前にしたとき、
「将来、話すことも書くこともできなくなるかもしれない」という現実が、手続きを急がせます。

でも、その“焦り”を“安心”に変えてくれるのが、法のサポートです。

  • 明文化された意思が家族や医療現場の指針になる
  • 法的に有効な形式だからこそ、誤解や混乱が防げる
  • 何より、「自分で決めた」と納得できる安心感が得られる

ALSと診断されたときにこそ、「今ならまだ間に合う」ことがあります。
命の選択に、悔いを残さない準備を――。


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