【医療と法務|ALS 第6回】

【想定事例】「託したからこそ守られた暮らし」

~任意後見契約が支えたALS患者の在宅生活~


長野県須坂市に暮らす70代の男性Cさんは、ALSと診断されたあと、長年暮らしてきた自宅での療養を希望しました。
病状は徐々に進行し、手足の自由がきかなくなり、会話も困難に。
しかし、Cさんは発症初期の段階で任意後見契約を締結しており、その準備が生活の安定を支えました。


❖ 任意後見契約を結んだ理由

Cさんは、次のような不安を抱えていました:

  • 預貯金の管理が難しくなること
  • 必要な福祉サービスや介護用品の契約手続きが自分でできなくなること
  • 詐欺や悪徳商法へのリスクもあること

そこで、信頼する姪と、行政書士を通じて公正証書で任意後見契約を締結。
「今後、自分に代わって財産管理や手続きを任せる」内容でした。


❖ 発効と後見人のサポート

Cさんの病状が進行したタイミングで、家庭裁判所に任意後見開始の申立てが行われ、
正式に姪が「任意後見人」として選任されました。

姪は後見人として:

  • 毎月の年金や預貯金を管理し、訪問介護費用を支払う
  • 電話勧誘や不審な郵便をブロック
  • 自宅改修や福祉用具レンタルの契約なども代理で実施

Cさんは療養生活に集中することができ、「姪が全部やってくれるから安心」と、文字盤で笑顔を見せていました。


❖ 本人の意志が「続いていく」

Cさんは、あらかじめ公正証書に残していた「自宅で過ごしたい」という希望通り、
施設への転居を避け、在宅での看取り体制まで整えることができました。

任意後見契約を通じて、本人の意思が継続され、形として実現された例です。


❖ ALSと後見制度の相性

ALSのように「判断力は残るが、意思表示が困難になる」病気にこそ、
任意後見制度は非常に有効です。

  • 誰に託すかを自分で決められる
  • 将来の生活設計を含めた支援を依頼できる
  • 第三者が介入することで不正やトラブルも防げる

Cさんのように、「できるうちに備えること」で、病と向き合う安心が得られます。
法的な備えが、医療や介護の土台を支えてくれる――
そんな事例のひとつです。


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