【想定事例】
60代のCさんは、前妻との間に成人した子どもが2人、現在の妻Dさんとは再婚して10年目。子どもたちとは距離がありましたが、争いもなく静かな関係でした。
Cさんは、再婚後の生活を支えてくれたDさんに全財産を相続させたいと考え、公正証書遺言を作成。前妻との子どもたちには一切相続させない内容でした。
しかし、Cさんの死後、子どもたちは「自分たちは親として育てられたのに、財産ゼロはおかしい」と激しく反発。遺留分侵害額請求がなされ、Dさんは精神的にも金銭的にも苦しむことに…。
【問題点】
- 法的には妥当な内容だったが、人間関係・過去の感情の積み重ねが無視された遺言内容となっていた
- 再婚家庭特有の配慮(前婚の子との関係整理や説明)が欠けていた
- 「全て配偶者へ」という内容は、残された家族にとって一方的な決定に映ってしまうこともある
【教訓と提案】
再婚家庭では、配偶者への感謝や配慮を強調するあまり、前婚の子どもたちとの関係性が置き去りにされてしまいがちです。
▼こうしたケースでは:
- 遺留分を意識した分配案にする
- 感謝と謝意を含めた付言事項を加える
- または一部を特別寄与料的に配偶者に配分する構成にする
- 説明や調整の時間を設ける(→家族会議・手紙など)
【結び】
公正証書遺言は、思いを形にする力を持っています。
しかし、再婚や複雑な家庭事情がある場合は、その「形」が感情のしこりや不信感を生む可能性もあります。
「法的に有効」だけでなく、「受け入れられる形」で遺言を残すことが、真の“家族を守る”遺言です。

