――遺言がなかったことで、処分も利用もできない不動産に
事例概要
Bさん(78歳・女性)は、地方に一軒家を所有し、一人暮らしをしていました。
亡くなった際、遺言は残されておらず、相続人は3人の子(長男・次男・長女)でした。
主な財産はその不動産のみ。話し合いの結果、売却もできず、3人で共有名義とすることに。
起こったこと
- 3人の相続人のうち、長男は「売却したい」、次男は「残しておきたい」、長女は「空き家管理の負担を嫌がる」など意見が分かれる
- 売却や賃貸、解体といった処分には全員の同意が必要なため、何も進まず
- 年月が経過しても共有状態のまま空き家となり、固定資産税や管理費だけが発生
- 近隣から「草木が伸びて危険」「ごみの不法投棄がある」と苦情も
なぜこの事態になったのか
- 遺言がなかったために法定相続分で分けるしかなかった
- 共有にすることで柔軟性が失われ、話し合いが難航
- 将来的に子や孫に“共有相続が連鎖”していくおそれも
公正証書遺言で防げたこと
- あらかじめ1人に不動産を相続させる内容にしておけば、速やかな処分や活用が可能だった
- 他の相続人には預貯金などを多く配分することで公平性も保てる
- 公正証書遺言であれば、形式面でも安心で、遺言執行もスムーズに進む
解説
不動産は、誰に渡すかをはっきりと決めておくことが、最も重要です。
とくに「兄弟で共有にしておけば平等」と考えがちですが、
それが原因で何十年も処分できない“負の資産”となることも少なくありません。
公正証書遺言では、相続人それぞれの状況に合わせた分け方の設計が可能です。
将来のトラブルを防ぐには、“自分が元気なうちの準備”が最も効果的です。
次回は、「相続人以外の人に遺贈したい場合に遺言が果たす役割」についての事例をご紹介します。

