「この子だけが家族でした」

― ペットの未来を遺言で守るという選択


【想定事例】

Lさん(69歳)は独身で、15年前から飼っている犬のモモと暮らしています。
親族との付き合いはほとんどなく、近所のMさん(40代)がたまに散歩を手伝ってくれる程度。

年齢と体力の衰えを感じるようになったLさんは、不安を口にするようになります。

「自分にもしものことがあったら、この子はどうなるんだろう…
施設に引き取られたり、最悪の場合処分されてしまうのかな…」


■ ペットは“モノ”として扱われる

民法上、ペットは「動産(=物)」に分類され、人間のような法的地位はありません。
したがって、Lさんに万一のことがあった場合、モモはLさんの遺産の一部として扱われます。

もし何の指定もなければ、相続人が引き取る・引き取らないを判断することになり、
引き取り手がいない場合は処分されてしまう可能性も
あります。


■ モデル遺言書(一部抜粋)

第〇条 遺言者の飼養する犬(モモ)については、Mに託し、その飼育を委ねる。
第〇条 モモの飼育費用として、遺言者の預貯金のうち100万円をMに遺贈する。
付言事項:モモは長年、私の心を支えてくれた大切な家族です。どうか、これからも大切にしてあげてください。


■ 対応の工夫①:飼育者と費用の両方を明記

ペットの遺言において大切なのは、「誰に託すか」と「費用をどうするか」をセットで記載することです。

  • 託す人(個人)を明示し、あらかじめ合意を得ておく
  • 飼育費用を遺贈し、経済的な負担を軽減する
  • 可能であれば、“負担付遺贈”(引き受けと引き換えに財産を与える)とする

■ 対応の工夫②:契約や覚書で意思を補強

公正証書遺言に加えて、託す相手と以下のような書面を交わしておくと、より確実です。

  • ペットの健康情報・性格・好きな食べ物などを記載した飼育マニュアル
  • 飼育を受ける人との合意書や覚書(意思確認として)
  • 必要に応じて、ペット信託を検討する(専門機関を使う場合)

■ 結びに ―「家族に何を残すか」は、人それぞれ

家族のかたちが多様化する今、ペットは“かけがえのない存在”になっています。
だからこそ、自分がいなくなった後の暮らしをどう支えるかを考えることは、とても自然なことです。

遺言書は、人だけでなく、大切な命の未来を託す手段にもなり得ます。
今一緒にいるこの子のために、できる備えを考えてみませんか?

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