「名前を書き間違えたせいで、すべてが無効に…」

― 自筆証書遺言でよくある“名前ミス”の代償


【想定事例】

Iさん(79歳)は、テレビ番組をきっかけに「自筆証書遺言」を自宅で書き始めました。
内容はシンプルに、次のようなものでした。


すべての財産を、長女 美智子 に相続させる。

令和4年6月1日

井上 一郎(押印あり)


しかし、Iさんの長女の正式な名前は「美知子」。
遺言に書かれた「美智子」は、まったく別人とされる可能性がある表記でした。


■ 誤記が命取りに? 自筆証書遺言の落とし穴

自筆証書遺言は、全文を本人が手書きし、日付・氏名・押印が必要です。
しかし、その手軽さゆえに、

  • 相続人の名前を通称や略字で書く
  • 生年月日や続柄の記載がない
  • 複数人に似た名前の人がいる場合に**「誰のことか分からない」と判断される**

といった**「形式ミス」「同一性の疑義」**によって、遺言が無効になるリスクがあります。


■ 争いを避けるために―対応の工夫

① 正式な氏名・続柄を記載する

「長女 美知子(昭和47年4月1日生)」など、客観的に特定できる情報を添えることで、同一性の疑義を防げます。

② 気になる場合は「公正証書遺言」にする

誤字・脱字・形式不備の心配がなく、公証人が内容を確認・保管してくれるため、争いの予防効果が高いです。


■ 結びに ― 書いた“つもり”でも、届かない遺言がある

Iさんのように、善意で作った遺言も、
形式ミス一つで「なかったこと」になる危険性をはらんでいます。

特に自筆証書遺言では、「自己判断で書かない」ことが最善のリスク回避策です。
“自分の意思をきちんと遺す”ために、一度専門家にご相談ください。

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