前立腺がんの検査と診断|PSA・MRI・生検から分かる病期と悪性度

前立腺がんの診断では、**「どの程度進んでいるか」「どのくらい悪性度が高いか」**を調べることがとても重要です。
これらの情報をもとに、治療の方針や方法が決まります。

ここでは、前立腺がんの検査や診断の流れを、わかりやすく解説します。


1. 前立腺がんを疑うきっかけは「PSA検査」

前立腺がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。
そのため、多くの場合はPSA(前立腺特異抗原)検査が最初のきっかけになります。

PSAは前立腺で作られるたんぱく質で、血液中の値が高いと前立腺に異常がある可能性が考えられます。
値が高くなる原因には、

  • 前立腺がん
  • 前立腺肥大症
  • 前立腺炎(炎症)
    などもあり、「高い=がん」とは限りません。

しかし、**PSA値が一定以上(4.0ng/mLなど)**の場合は、より詳しい検査を受けることがすすめられます。


2. 次に行う「直腸診」「画像検査」

● 直腸診

医師が肛門から指を入れて前立腺を触り、硬さやしこりがないかを確認します。
短時間で済む検査ですが、異常の有無を判断するための大切な手がかりになります。

● MRI検査

磁気を使って体の内部を撮影する検査で、前立腺の中に「がんの疑いがある部分」がないかを詳しく調べます。
最近では、MRIの画像情報をもとに生検の位置を正確に決める方法も増えています。


3. 確定診断のための「前立腺生検」

前立腺がんを確定するためには、**生検(せいけん)**が必要です。
これは、前立腺の組織を針で採取して、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる検査です。

通常は局所麻酔をして行い、入院または日帰りで受けられるケースもあります。
採取した組織にがん細胞が見つかった場合に、はじめて「前立腺がん」と診断されます。


4. 病期(ステージ)とは?──がんの「進み具合」

診断が確定したら、次に調べるのが**病期(ステージ)**です。
これは、がんがどの範囲まで広がっているかを表すものです。

一般的には次のように分類されます。

ステージ状況の目安
Ⅰ期前立腺の中にごく小さいがんがあり、自覚症状がほとんどない
Ⅱ期がんが前立腺内にとどまっているが、やや広がっている
Ⅲ期がんが前立腺の外側(精嚢など)にまで広がっている
Ⅳ期リンパ節や骨など、ほかの臓器に転移している

ステージは、PSA値やMRI・CT・骨シンチグラフィー(骨への転移を調べる検査)などを総合して判断されます。


5. 悪性度を示す「グリソンスコア」とは?

がんの「進み具合(ステージ)」と並んで重要なのが、**悪性度(がんの性質の強さ)**です。
これを表すのが「グリソンスコア」と呼ばれる数値です。

生検で採取した組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の形の崩れ具合を評価します。
それぞれの部分に5段階のスコア(1〜5)をつけ、2つのスコアを足した合計(例:3+4=7)がグリソンスコアになります。

グリソンスコア悪性度の目安
6以下低リスク(おだやかに進行)
7中リスク(やや進行が速い)
8〜10高リスク(進行が速い傾向)

この数値によって、手術・放射線・ホルモン療法などの治療方針の方向性が決まります。


6. PSA・ステージ・グリソン──3つの視点で全体像を把握

前立腺がんの診断では、

  • PSA値(どれくらい異常があるか)
  • ステージ(どこまで広がっているか)
  • グリソンスコア(がんの勢い)
    この3つの情報が重要です。

これらを総合的に見ることで、医師は「どの治療が最も適しているか」を判断します。

たとえば、

  • ステージⅠ〜Ⅱで悪性度が低い場合 → 経過観察や局所治療が中心
  • ステージⅢ〜Ⅳまたは高悪性度 → 放射線・ホルモン療法などを組み合わせて治療

このように、一人ひとりの状態に合わせた「オーダーメイドの治療計画」が立てられます。


7. 検査結果を聞いたあとに大切なこと

検査の説明を受けても、数字や専門用語が多く、すぐには理解しにくいものです。
医師の説明中にわからないことがあれば、遠慮せずに質問しましょう。

また、家族と一緒に話を聞いたり、メモを取ったりすると安心です。
「次の診察で聞きたいこと」をあらかじめノートに書き出しておくのもおすすめです。


8. まとめ|正確な診断が、あなたに合った治療につながる

前立腺がんの診断は、複数の検査を組み合わせて慎重に行われます。
PSA値だけで一喜一憂せず、**「病期」「悪性度」「体全体の状態」**を総合的に考えることが大切です。

正確な検査と理解が、今後の治療選択を冷静に考えるための第一歩になります。
不安なときは、医師・看護師・相談員、そして必要に応じて法的な支援を行う専門家にも相談してみてください。


(補足)

本記事は、前立腺がんの検査・診断に関する一般的な情報を分かりやすくまとめたものです。
個々の検査結果や治療方針については、必ず主治医にご確認ください。
治療の方針を決める際に、意思表示や将来の生活設計について整理したい場合は、
遺言・任意後見契約などの法的サポートを活用することも検討しましょう。

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