前立腺がんは、早期に見つかる場合もあれば、診断の時点ですでに転移がある状態で見つかることもあります。
また、治療が一段落したあとに再発することもあります。
「転移」や「再発」と聞くと不安が大きくなるものですが、
最近では多くの治療法が確立されており、長く安定した経過をたどる方も少なくありません。
ここでは、前立腺がんにおける転移や再発について、一般的な流れと考え方をわかりやすくまとめます。
1. 前立腺がんの転移とは?
がんの「転移」とは、前立腺以外の場所にがん細胞が広がることを指します。
前立腺がんで多いのは、次のような転移です。
- 骨への転移(腰・背中・肋骨など)
- リンパ節への転移
- まれに肺や肝臓への転移
特に骨転移は前立腺がんに特徴的で、腰痛や背中の痛みがきっかけで見つかることもあります。
2. 初診時に転移がある場合
初めて診断された時点で転移が見つかった場合、**がんが前立腺の外に広がっている「ステージⅣ」の状態です。
この段階では、手術でがんをすべて取り除くことは難しいことが多く、
主にホルモン療法(内分泌療法)**を中心とした治療が行われます。
ホルモン療法によって、がんの勢いを長期間抑えられるケースも多く、
PSA値が安定し、数年にわたって良好な経過をたどる患者さんも少なくありません。
治療の例(一般的な傾向)
- 男性ホルモンの働きを抑える注射や内服
- 必要に応じて放射線治療を併用
- がんの勢いが強い場合は、化学療法を組み合わせることも
治療の目的は「完治」ではなく、がんを抑えながら生活の質(QOL)を保つことに重点が置かれます。
3. 再発とは?──治療後にPSAが再び上昇する場合
手術や放射線治療のあとに、PSA値が再び上昇してきた場合、
前立腺がんが再び活動を始めた「再発」の可能性があります。
再発には、主に2つのタイプがあります。
| 再発の種類 | 説明 |
|---|---|
| 局所再発 | 前立腺の周囲(手術や照射の部位)に再びがんが出てくる状態 |
| 遠隔再発 | 骨やリンパ節など、離れた場所にがんが再び現れる状態 |
どちらの場合も、再発の場所やスピードによって、
再度の放射線治療、ホルモン療法、または薬の変更などが検討されます。
4. PSA再発のときに慌てないために
前立腺がんの再発は、PSAの変化が最初のサインになることが多いです。
ただし、PSAの値が上がったからといって、すぐに体に症状が出るわけではありません。
大切なのは、
- PSAの上がり方のスピード(「PSAダブリングタイム」)
- 他の検査結果との総合判断
主治医とよく話し合い、治療を再開するタイミングを慎重に決めることが重要です。
5. 転移や再発があっても、治療は続けられる
前立腺がんは、長期間にわたってコントロールできるがんといわれています。
転移や再発があっても、治療の組み合わせや新薬の登場によって、
「がんと付き合いながら生活する」ことが可能なケースが増えています。
医師や看護師、薬剤師など多職種の支援を受けながら、
副作用をうまくコントロールして治療を続けることが目標となります。
6. 治療を続ける中で大切にしたいこと
転移や再発があると、
「これからどうなるのだろう」「家族に迷惑をかけたくない」などの不安が出てきます。
そんなときこそ、自分の思いを整理し、信頼できる人と共有することが大切です。
- 今後の治療に対する希望
- 痛みや苦痛をどうコントロールしたいか
- 財産や家族への思いをどのように伝えるか
これらを整理しておくことで、医療チームやご家族との話し合いもスムーズになります。
7. 将来に備える法的なサポートも
治療と並行して、「もしものとき」に備える法的手続きも検討できます。
- 判断能力が低下した場合に備える任意後見契約
- ご家族に意思を伝えるための遺言書
- 医療や介護に関する希望を記しておく尊厳死宣言書
これらの制度を利用することで、
ご自身の意思を明確に残し、家族の負担を軽くすることができます。
行政書士などの専門家が手続き面でサポートできますので、
医療とは別の視点から安心を得る方法として知っておくとよいでしょう。
補足
本記事は、前立腺がんの転移・再発に関する一般的な情報提供を目的としています。
実際の診断・治療方針は、がんの種類・進行度・体調などにより大きく異なります。
具体的な対応については、必ず主治医にご相談ください。
また、将来の備えやご家族への思いを整理したい場合には、
法的な手続き(遺言、任意後見契約など)を検討することもできます。
安心して治療に専念するための一つの方法として、専門家への相談をご活用ください。

