~「同居している子」にだけ残すと揉める?~
事例概要
長野市郊外にお住まいのDさんご夫妻(70代)。
自宅は、長男夫婦と同居する二世帯住宅。
次男と長女はそれぞれ県外に住んでおり、帰省は年に1~2回ほどです。
長男が建替え費用の一部を負担しており、「将来自宅は長男が継ぐ」という話で家族も納得していました。
しかし、最近になって「それを正式に遺言で残しておいた方がいいのでは」と相談を受けました。
相談時の課題
- 自宅は長男の名義ではなく、親(Dさん)の単独名義のまま
- 相続時に次男・長女にも法定相続分が発生
- 口頭での約束だけでは、他の相続人とのトラブルにつながるおそれ
- 二世帯住宅のため、共有・持分分けが難しい
行った対策
- 公正証書遺言で「自宅を長男に相続させる」旨を明記
- その代わりに、預貯金や生命保険金を他の子へ分配し、全体の公平を確保
- 付言事項として、
「長男が長年一緒に暮らし、介護や家の維持を担ってくれたことへの感謝」
「兄弟間で感情的な対立を避け、仲良く過ごしてほしい」という親心を記載 - 公証役場にて正式に作成し、証人2名立会いのもと署名・押印
結果
- 遺言の内容が法的に明確になったため、相続時の不安が解消
- 他の兄弟も「親の思いが書かれていたから納得できた」とトラブルを回避
- 建物や土地の名義変更もスムーズに進み、二世帯住宅の生活をそのまま継続できた
解説:二世帯住宅の遺言ポイント
- 二世帯住宅は「共有」と「使用実態」が複雑になりやすい
- 「長男夫婦が住んでいる」=「自動的に長男の所有」ではない
- 相続時の公平を考え、金銭での調整や付言事項による心情面のフォローが重要
- 公正証書遺言で明確に残すことで、親の思いが確実に伝わる
ポイント
- 「同居しているから大丈夫」ではなく、正式な形に残すことが大切
- 遺言書があることで、兄弟間のわだかまりを防ぐことができる
- 家族それぞれの事情を考慮し、公平と納得のバランスを取る工夫が必要
