治療費がかかった年に必ず確認したいこと
― 家族が困らないための「生前整理」と遺言の役割 ―
◆ はじめに
がん治療・難病の通院・入院・介護サービスなど、医療費が高額になりやすい方ほど「医療費控除」の対象になる可能性があります。
医療費控除は申告すれば数万円〜数十万円の還付が出ることもあり、家計への影響も大きい制度です。
しかし、突然の入院や療養中の体調悪化で、申告の準備が難しくなるケースも少なくありません。
本記事では、医療費控除のポイントと、亡くなった後に必要となる準確定申告、遺言との関係をわかりやすく解説します。
① 医療費控除の対象になるもの
医療費控除は、「医療のために支払った費用」が幅広く対象になります。
■ 主な対象
- 医師の診察・治療費
- 入院費・手術代
- 処方薬
- 通院のための交通費(公共交通機関)
- 医療用器具(補聴器、義歯、補装具ほか)
- 介護保険サービスの一部(訪問看護・デイサービス等で医療系のもの)
■ 対象外になりがちなもの
- 美容目的の施術
- 自家用車のガソリン代・駐車場代
- 健康食品・サプリ
- 予防接種(一定の条件を除く)
「これは対象になる?」という迷いや誤解が多い分野なので、領収書は捨てずに保管しておくことが大切です。
② 医療費が一定額を超えると税金が戻る
医療費控除は
「年間の医療費が一定額を超えた場合に、確定申告で所得控除を受けられる制度」
です。
還付額はケースによりますが、
- 年間10万〜30万円の医療費
- 家族分をまとめて申告
といった場合、数万円の還付になることもあります。
特に、
- 抗がん剤治療
- 高額な処方薬
- 長期の入院
では控除額が大きくなりやすい傾向があります。
③ 急な入院・体調悪化で起きる「書類の混乱」
治療が長引くと、次のような状況が起こりがちです。
- 領収書がバラバラに保管されている
- 医療費通知書が見つからない
- 交通費のメモが無い
- 家族が把握しておらず、申告期間を逃す
また、がん治療や慢性疾患の場合は通院が多く、医療費の領収書が非常に多くなるため、整理だけで大変という声も多くあります。
④ 本人が亡くなった場合は「準確定申告」が必要
本人が亡くなった後も、その年に支払った医療費については控除の対象となります。
家族は 準確定申告(死亡後4か月以内) を行う必要があります。
■ 準備が必要な書類
- 医療費の領収書
- 医療費通知(後から届く場合あり)
- 入院費の明細
- 通院交通費の記録
- 保険・給付金の支払い明細
特に、がん患者の方は入院・通院が多く、医療費控除の対象額が大きいことがあります。
領収書が無い場合、数万円〜数十万円の還付を逃すケースも珍しくありません。
⑤ 医療費控除と遺言書の関係
医療費控除は「税金の話」、遺言は「相続の話」。
別の分野のように見えますが、実は次のポイントで深くつながっています。
■ ① 遺言があると書類整理がスムーズ
遺言書で「遺言執行者」を決めておくと、
- 通帳
- 保険関係
- 医療領収書
- 支払い履歴
の整理が非常にスムーズになります。
■ ② エンディングノートとの相性が良い
医療費控除に必要な書類は量が多いので、
- 保管場所
- 対象外のレシート
- 整理方法
を家族に共有しておくと、準確定申告が確実に行えます。
⑥ 家族が困らないためにできる準備
医療費の多い方、治療中の方ほど次のような「生前整理」が効果的です。
- 医療費の領収書を一つの袋やファイルにまとめる
- 通院交通費をメモまたはアプリで記録
- 医療保険・給付金の書類を一箇所に整理
- 誰でもわかる場所に保管する
- 体調が安定しているうちに遺言書を準備しておく
病状によっては「次の年に申告できるかわからない」こともあるため、可能な時期に整理することが大切です。
■まとめ
医療費控除は家計に大きなメリットがあり、治療が続く方ほど活用したい制度です。
しかし、病状や年齢によっては準備や申告が難しくなり、家族に大きな負担がかかることがあります。
遺言書やエンディングノートによる「事務手続きの準備」は、こうした負担を大幅に軽減する方法です。
医療費が多い方、治療が長期化している方は、早めに書類の整理と遺言の準備をしておくことをおすすめします。
